自転車は、幅員3m以上の歩道を除き、車道通行とする。
25日の警察庁の通達を受け、全国の県警も歩道の通行規制を見直すであろう。
都心部の歩行者と自転車の事故が、多発していることを受け、
警視庁が、都内の自転車の歩道通行を原則禁止したことが発端である。
これは、遅ればせながら、自転車と歩行者とを区別し、
バイクと同じ位置付けにした画期的な判断である。
そもそも日本の道は、自転車・歩行者・自動車が一緒に利用する
歩車共存の生活道路であった。
ある意味で理想に近い道路形態であった。
ただし、モータリゼーションが進んだ60年代に、
自転車と歩行者を完全に分けるべきだったのだ。
自転車は時速40km以上のスピードが出る、危険な乗り物である。
欧米同様、構造的に歩行者と二輪車とは区別すべきである。
ロードを趣味とするサイクリストにとっては,嬉しい解釈であるが、
車道内を走るのは危険で、白線内を走ることを心懸けている。
競輪用の
ピスト車は論外である。
これは安全性よりスピード、瞬発性を重視して、停止性に重きを置かないためだ。
しかし、車道に追いやられる、買物・通勤自転車にとっては大変なことである。
街中で、歩車道を行き帰する危ない自転車を良く見かける。
これは
歩車分離の思想を曖昧にした、国の行政指導も悪い。
狭い箇所は歩車道すべてが狭く走りづらく、通行可能な幅員3m以上の
広い歩道の車道路肩は、広く走り易い。
少なくても昭和60年以降に造られた都計道路は、基本的に同じ設計基準である。
今回の通達は一方的すぎる感が否めない。
なぜなら、それを運用するには道路構造を変えなければいけないからである。
これは日本の縦割り行政の欠点である。
道路交通法は警察庁、
道路法は国交省と所轄が違う。
道路を取り締まる側が、交通規制を変えると言っても、その準備と方針が整っていない。
交通行政とは規制でなく、計画と実施の段取りが先行すべきである。
その計画実施プロセスとは
① 自転車の歩道通行可能個所と、車道通行個所を解り易く
交通マップを示す。
② 通行不可能箇所は、優先事業として
自転車専用レーン(道路)の計画を立てる。
③ 交差点内の車道
路肩の不足(50cm以上)を解消し、交差点改良する。
④ 自転車通行をすべて
左側通行とする。
⑤ 欧州で最も厳しい、路肩内
(自転車通行帯)の停車車両の罰則を強化する。
⑥
交通安全教室などで、自転車の乗り方を事前に教育、指導していく。
このプロセスを得て、初めて交通ルール変更の意義が生れるはずである。
日本の交通行政は事故が起きてから、経験的に変更してきた。
そして、方針が曖昧なまま、自転車の曖昧な存在を作って今日に至っている。
買物自転車の事故が増え、ようやく腰を上げる警察庁と国交省、
という記事は見たくない。