外国から帰って驚いたことがある。
役所の手続き、資料などのサービスが、ネットで行えるものが増えたことである。
民間ではとうの昔からやっているので、無駄な人件費の削減になるだろう。
特に、都市計画関連では、都市計画図などの閲覧サービスなどもあり、
見る人が見れば、わざわざ出かける必要もなくなった。
このシステムは専用のGISソフトを用い、利用者は簡単にダウンロードできるが、
委託業者により作られているものがほとんどである。
ただし、このシステムを計画方面に利用しなければ、絵を見せるためだけに、
多大な出資を行ったことになってしまう。
現在このサービスがある市町村は、ネットで検索すると、大阪府、神奈川県、
兵庫県、熊本県、横浜市、岐阜市、市原市、西宮市、那覇市などである。
実際はかなり普及しているだろう。
住民の多くは、自分の住む場所の都市計画用途地域を知らない。
この種のシステム導入が進まず、進んでも利用拡大に至らない理由は、
日本人の緻密さといいかげんさとのギャップである。
理由1
都市計画の変更は、法的には案の公告、2週間の縦覧、
意見の聴取だけで進行する。
無関心な住民が多い場合、官主導で粛々と事業は進む。
関心が高まった後の住民の総意集約、住民運動は後出しとみなされる。
理由2
高価な専用のGISシステムの導入は、安全面から必要であるが、
どの公共団体も似た業者のものを使っている。
アウトプットは一般のものと変わらない。
むしろ遅く使いづらい。
理由3
都市計画の窓口業務は、住民が、「教えて下さい、都計図を売って下さい、
許可してください。」という長年の官民の立場が続いているため、
情報公開的な急展開に対応できていない。
大震災後の対応では、指導力、情報公開、コンプライアンスなどの点で、
官庁と準国営企業に批判が集中するのは当然であろう。
しかし、大切なことをを他人任せにしたいいかげんな、
でも緻密な我々日本人って一体何なのだろう。