見直される公共交通機関

Katzu

2012年01月23日 15:00

 

 那覇のゆいレールの浦添までの延伸計画が決まった。
交通経済学上は、バス利用と自家用車利用の割合が変化しない現在、
費用便益上は有効ではないが、将来の都市構造を考えるとどうだろうか。
ゆいレ―ルは、沖縄軽便鉄道と路面電車の復活を願う有志の熱意もあり、
1996年の都市計画決定を経て、2003年に開通した。



平成20年の乗降客数は35,700人/日と落ち着いている。
那覇の交通重渋滞緩和の大目的より、事業のインパクトと
観光に与えた影響は大きい。

 かつて、沖縄の公共交通機関はバスとタクシーであった。
バスは本島では4社、100以上の路線がある。乗降客は減少しているが、
優先バスレーンの存在がその公共交通機関の地位を高めている。



 一方タクシーは初乗りが500円で、高校生の通学手段や、
スーパーの買物利用になっている例も多い。
近所のスーパーにも、いつもタクシーが止まっている。
すっかり、市民の足になっており、1,600の事業者、5,400台と
人口当たり台数で全国一であるが、依然経営状況は厳しい。
マナーの悪さは以前から指摘されているが、最近はあまり感じない。
ただ、タクシーが歩く酔客の後ろからついて行く光景は異様だ。

 沖縄本島では、大きな黄色のスクールバスをよく見かける。
海外では、スクールバスの優先順位は際立っている。
乗降時は対面の車も、一時停止を義務づけられているほどである。



 トラム(LRT)は次世代の公共交通機関と位置づけられている。
トラムをゆいレールの延伸に合わせて作る計画もある。
普天間飛行場跡地から北部を結ぶ、新たな都市軸となる可能性もある。
しかし、安易にアメリカ型の交通社会に突然、トラムを導入すると
様々な問題が起きてくる。
それは公共交通機関の優先度、認知度と歴史的背景の違いである。
個人主義の交通ルールは、信号無視、乱暴な運転に至ることも多い。



 日本には譲り合いの精神と路面電車の歴史があるが、
トラムと路面電車は、歴史と交通の優先性において違う。
むしろトラムは専用路線バスに近い。
様々な意見があるが、トラムの定時制、経済性、安全性、
環境面からもっと評価されるべきであろう。




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