大洋州の島々は、祭事が生活の中心であった。
現在の沖縄でもカレンダーは、年中行事で埋め尽くされる。
暦意外にも、各種イベント、冠婚葬祭、同窓会などが多く、
毎週、休む間もない印象をうける。
この多くの祭事を行う為には、コミュニティの結いが最も大切であるが、
それを伝える方法は、地域と規模により異なる。
特に離島では、島内放送があったり、マイクで起床や日々の情報が流される。
本島の集落では、広報車が、葬式予定その他の情報を流し走っていく。
広告類・イベント開催は、交差点や道路の横断幕で伝える。
南洋のパラオでも同じ方法で、イベントの数日前に知らされることが多かった。
日本本土や本島都市部では、市報や各ミニコミ誌がその役目を担うが、
島の伝統を維持するためには、従来の伝達方法で行われる。
部外者や旅行者は、島内放送や突然の時報に驚かされることがある。
一方、その集落や各種団体に入り、生活を共有しない限り、そのコミュニティに
入りづらいのも事実で、一旦入り込めば出づらいほどの深い関係となる。
アジアの地方集落はどうであろうか。
ビルマ中北部ニャウンシュエを例にとると、
朝6時すぎに、子供達の唄声が聞こえ起こされる。
若い僧侶達が、お経を唱え街を練り歩き、お布施をうける托鉢が行われる。
純粋な宗教活動であり、まだ観光客の注目を浴びていないのが救いである。
特に定期の市報などはなく、人伝いに情報が伝達する。
宗教関連以外にイベントは少なく、毎年暦通りに繰り返される。
マーケットは5日おきに開催される。
ディスコやライブハウスのないこの街では、音楽が流れるのは珍しい。
大きな音楽のする方向に向かい歩いて行くと、公民館に人が集まっている。
手招きされ中に入ると、新郎新婦が迎え入れた。
結婚式だったのである。
日本人の旅行者であることを伝え、困惑していると、料理の席に招かれた。
村の人も次々とやってきて、ワイワイと料理を食べて交代していく。
この村は、年々歳々の決まった年中行事と、すべての人を受け入れるという
宗教観に基づいた、独自のコミュニティのコミュニケーション方法を持っている。
外来者に対しても同じく接する態度に、いたく感心してしまった。
沖縄本島の屋慶名では3日後、海中ロードレース大会があり、毎年1万人規模の人が
集まるが、今のところ横断幕と広報車以外に、まだ何の気配も感じられない。
Netで参加者も決まり、あとは前日に物理的な作業が行われる程度であろう。
そして、台風規模の天気にならない限り、つつがなくイベントは取り行われるだろう。
その手際良さとイベント慣れと南国的あいまいさ?にいつも感心してしまう。
伝達方法の違いこそあれ、多くの人を迎える行事の趣旨は共通である。
災害時にNetやテレビや携帯が、決して万能ではないことを知った日本人は、
宗教や伝統的なコミュニケーション方法や結いの強さを、もう一度見直すべきだろう。