アメリカでもっとも古い都市は、1565年にスペインにより創立されたフロリダ州の
セントオーガスティンと言われ、次いで古い都市はスペイン入植者により造られた
ニューメキシコ州のサンタフェと言われている。
当時サンタフェ周辺には、既に先住民のプエブロ族が2000人規模の街を形成していた。
近隣には同じくナバホ族、アパッチ族も居留しており、彼らの紀元前からの居留の歴史を
振り返れば、かの地がネィティブなアメリカの古都と呼ぶべきかもしれない。
開拓時代に発展したアルバカーキのダウンタウンは交通の要所であり、
全体としてスペインとネイティブアメリカンの混合した色合いの都市である。
さらにSanta Fe Rail Runnerに乗り1時間、標高2000mを超える茶色の丘陵地に、
良く見ると同じ茶色の住宅が点在しはじめ、やがて自然地形に沿った街に到着する。
終点サンタフェ駅には半袖姿の観光客もいたが、もう既に木枯らし吹く季節であった。
ここにはアメリカ一古いと言われる建物がサンミゲル教会の隣りにある。
この建物はアドべ(日干し煉瓦)と砂質土により一体的に塗り固める
プエブロ族の伝統建築工法による低層建築物である。
このAdobeは、メキシコから南米大陸にかけて全般的に見られる。
隣の修復中のサンミゲル教会は、地元ボランティアによる修復が進行中であった。
街の古い建物は旧総督府、ニューメキシコ美術館だけでなく一般のホテル、
駐車場に至るまで同じコンセプトで街は作られている。
基礎はそのままに新たに嵩上げされた構造は、南米クスコのインカ時代の基礎に
そのままスペイン時代の建物が立っている姿を思い出す。
外柵は金属やブロックではなく、インデアン居留地にあるような木の支柱を利用したものがあった。
建築物の意匠や構造・色彩にも制限を設けているのだろうか。
その中にスペイン様式の聖フランシス聖堂が唯一の高いランドマークとなっている。
各店舗はネイティブアメリカンの工芸品、絵画、ジュエリーアートなどの服飾品の店が軒を連ねる。
街全体が一つのテーマで統一されたお洒落なイメージの美しい街に仕上がっているのである。
サンタフェは恐らく歴史の浅いアメリカで、初めて欧州にないオリジナリティを表現した都市であろう。
そのアイデンティティは、悲しくも差別迫害し続けたネイティブアメリカンによりもたらされたものだった。