今年の雨季のパラオは、例年になく風雨が強い。
ようやく台風が過ぎた今週も、雨と波が海面を打つ。
南西の風が吹く中、1年ぶりのダイビングに向かう。
天気は曇り時々雨時々晴れである。
パラオのダイビングスポットは、世界的に有名なブルーコーナーをはじめ、
島の西側に多く、この日は風を避け、ゲロンに向った。
初めてのポイントで、リクエストしていたので丁度よかった。
静かな暗い海の、久しぶりの潜水で、
予想通り最初の耳抜きに苦労し、緊張しながら潜行する。
それが20mの海底で状況は一転する。
色とりどりのサンゴ、イソバナ類にチョウチョウウオ類、
フエダイの群れなどが動き、色めきを添える。
大物の群れはないが、色彩と種類の多さには驚いてしまう。
そして海流とともに、生物は祭りのように踊りだす。
決して大物ではないが、1種類づづ目の前に飛び出してくる。
ネムリブカ、リーフシャーク、海ガメ、数百kgありそうなシャコガイ。
海ガメは口がとがっているのでタイマイと思われるが、
捕食中で触れる距離まで逃げなかった。
地形の入り組んだ谷もあり、高山植物が咲き乱れる谷間から、
タヌキやクマが出てきたような賑やかさだ。
午後からは、雨も降りゲロンインサイドのポイントだった。
カサゴ、クマノミ、擬態のタコ、カエルアンコウ、など小さく見れば見るほど
生命が凝縮し、お互いに反応し、連鎖している姿がみえる。
このスポットは大物のブルーコーナー、景観のブルーホール、
マンタの乱舞するジャーマンチャンネルとは趣を異にするが、
パラオの海の環境を詰め込んだような、賑やかな海であった。
こんなコンデションでも、十分その魅力に出会えたが、
晴れた時にもう一度訪れたいポイントである。
オニヒトデも見られず、白化現象でダメージを受けたサンゴも、
かなり回復しているように感じる。
今でも、世界屈指のダイビングスポットであることには変わりなく、
世界中のダイバーが集まる魅力の海である。
しかし、13年前に見たサンゴの花畑には、戻れないかもしれない。