建設業界は、公共投資額が平成22年比で3割削減される中、
産業全体の空洞化を招いた。
地域を支える中小企業が疲弊するなか、
災害対応の機能の維持さえ困難な状況で、昨年の大震災が起きた。
震災復興の工事が遅れている要因はここにある。
国交省資料の詳細
国交省の24年度予算は、復興庁予算を除き、ほぼ昨年同額となった。
建設業界は、震災後徐々に回復に向かいつつある。
日経平均で、平均株価は震災前後で3%上昇した。
海外からの投資も少しずつ増え、復興銘柄である建設の中小株を中心に動きだした。
海外メディアも、復興のマネーゲームが始まったと報じた(ロイター)。
災害現場はどうであろうか。
年始は真冬に係わらず、土砂運搬が引っ切り無しに行われていた。
しかし、建設業界の実力はバブル時に比べ低迷、重機の保有も縮小したため
大量の土砂搬入・廃棄に即応できる建設会社は限られている。
その一方で、大手ゼネコン支店や土地建物の補償コンサルなどを中心に、
一部業界の活況も伝えられている。
現在も、復興に関する金とモノの流れは、誰の目にも効果的でない。
沖縄の建設業界はどうだろうか。
まだ、基地返還に関する工事その他の目立った動きはない。
しかし、本土に比べ、区画整理事業、道路築造、埋め立て事業など、
民間建築工事よりは、公共事業はまだ活況に映る。
その中で、特に忙しい分野がある。
建設コンサルタントの調査・計画・設計部門である。
県内の協会登録のコンサルタント会社は50社程度だが、
指名入札業者は500社ほどもある。
県外企業の支店を含めばそれ以上になる。
1地方の県レベルでは、信じられない数である。
その年間実績は、数人の事務所で、30万から30億円まで様々である。
幾つかの事務所で話を聞くうちに、景気のいい話が聞こえてくる。
調査・計画・設計業務が増えるということは、建設業界が動き出した証しである。
現在、大手ゼネコンやコンサルの支店は、仙台と那覇に人材をシフトしつつあり、
数年は、この2都市が日本の建設業界をもけん引していくであろう。
しかし、今の手法・システムでは、同じ悪循環が繰り返されていく。
それは、長い目で命を守ることと、豊かな生活を作る夢物語の区別が
つかないままに、街が造られていくためだ。
中城湾