花ひらく梅雨の沖縄

Katzu

2012年05月13日 02:22



 沖縄はいつのまにか、うりずんの季節も終わり、
梅雨の季節に入っていた。
梅雨と言っても内地のように、毎日湿って底冷えし、
ジトジト降り続くイメージはない。
今までは雨の日と晴れの日が交代で繰り返し、
珍しく雲ひとつない晴天の日もあり、
むしろ1年を通じて最もすごし易いと感じる。
 この間、海もようやく温かくなり、
ウェットスーツなしで泳げるようになった。
今日の海辺の気温は27℃、水温は24℃だった。



 本島に近い宮城島のこの海岸は、
連休中でも観光客がこないビーチで、
釣人が二人いるだけであった。
Googleの航空写真で推測していた通り、
海岸段丘の下にある谷部の、リップカレントのある地形で、
過去にも水難事故があったのだろう。
きっちりと潮の流れが示された、英語入りの看板があった。



 夕方、干潮から上げ潮に変わり、釣人の動きも忙しくなった頃、
浅瀬から3点セットで、海に入ってみる。
海中は、数日前に荒れた後で少し濁っていた。



意外に神経質な大きなツノダシや、
海に花開いたミノカサゴがいたが、
食べれそうな魚は素早く逃げて行った。



ここはリーフエッジが近く、海が荒れると波が岩を洗うようで、
サンゴも海藻も少ない。
しかし、この湾のリーフエッジにはきっと大物がいるだろう。

砂浜に戻り、釣りのおじさんが笑顔でくれた
冷えたカン紅茶を飲んでいると、
ここが日本でない南の島にいるような感覚に戻っていた。



 帰りに伊計島のタバコロードを突っ切り、犬名河(インナガー)に寄る。
この時期は、南の島特有の妖美な花が咲き始める。
デイゴは終わっていたが、月桃の花がたわわに咲いていた。



 同じく夏のチョウも舞い始めていた。
黄金のさなぎがら孵化したオオゴマダラは、
トカラ列島以南にしか生息しない、日本一大きい蝶で、
最も沖縄らしい生物であろう。
その舞い方は、咲いた花が紙のように舞っているような、
琉舞のようにスローに舞う、昆虫にない華やかな柔らかさを持っている。



 沖縄のこの時期の生物たちは、暑い夏の狂騒曲が流れる前に、
静かに優美な姿を見せ始める。

関連記事