来週、沖縄で太平洋・島サミットが開かれるが、
県内では、その関連のセミナー、シンポジウムが開かれている。
昨日から、太平洋島嶼域海洋環境シンポジウムが宜野湾で行われている。
笹川平和財団と琉球大学の主催で、太平洋諸国11カ国の参加で開催された。
前任地のパラオから3人が参加しており、興味があった。
テーマは環境保護区の設定と運用に関するもので、
ケースレポートとディスカッションが行われた。
ここ数年で、島嶼国の環境保護に関する対応が大きく変わってきたと感じた。
今までは先進国側が、環境保護のためのモラルを指導しながら、
資本と教育を支援するシステムを作ってきた。
一方、島嶼国は、自分の足元を見つめ、豊かな里海を創る努力を始めている。
環境保護区の設定→漁獲の拡大→豊かさの確認→気候変動への対処
というシナリオも視野に入れている。
ツバルのシャコ貝、パラオ・沖縄のナマコの乱獲の報告があったが、
近年の特徴は、周辺大国の経済事情が大きく影響している。
特にナマコは、中国の需要の増大で価格が高騰し、日本の
健康ブームも重なり、あらゆるナマコが乱獲の対象となった。
太平洋アジアの生物多様性を育む中心が、マングローブの森である。
その広域的な保護区域の設定に向けた取り組みが、各国で行われ始めている。
基調講演をしたパラオ下院議長のノア・イデオン氏は、パラオ環境協会(PCS)の
活動が認められ、TIME紙のHero For The Planetの一人に選ばれた。
当時、建設許認可の部署にいた私は、彼とは逆の立場で、
上司は、彼との接触を快く思っていなかった。
講演後、話を聞けたが、パラオではいまだ開発と保護の2極対立は続いている。
資源環境観光省のアイタローさんは、国レベルの保護区の設定に取り組み、
環境使用料の税収供与により、州レベルの運営支援をサポートしている。
PCC(パラオ短期大学)のシェリー女史は、
カヤンゲル環礁の環境保護区域の提案を行った。
ここの無人島は手つかずの自然が残り、シャコ貝、
イセエビを始め、海鳥の繁殖地になっている。
近年ようやく日帰りツアーができ、日本以外の観光客も訪れるようになったと聞く。
いずれ、観光地化する前に、厳しい環境保護規制が敷かれるだろう。
講演のあと彼女と話をする機会があった。
提案した同僚は、当時の私のボスのロリータさん、
彼女のボスがトライアスロン仲間のジョーさんであった。
島国では人間関係が濃密になる。
でも講演の中味の話は素通りしてしまった。
パラオ・カヤンゲル環礁
会議は同時通訳機器つきの至れり尽くせりのものであった。
通訳なしで理解しようとするが、特に略語が出ると、団体名か、
専門用語か、法律名かわからないと全体が理解できず、あせる。
日本にいると外国語に接する機会がほとんどない。
1年も経つとその感覚を忘れかけ、旅行者レベルに戻ってしまう。
このようなシンポジウムが近所で開催されたことに感謝しつつ、
このストレスに対応できるレベルに戻さねばと思った次第である。
いつも不思議に思うのは、県内には環境関連の専門家、就業者、
公務員はごまんといるのに、いつも参加者が少ない。
直接関連しないと興味がないのか、学会の派閥なのかよくわからない。
知識を得る機会を失うのはもったいない話である。
加えて、なんとかラーニングをするよりは、
短時間で英語力が向上し、自己啓発のきっかけになる。