2015年02月17日

沖縄のアメリカ的な住宅地

 沖縄に住むと決めた当初、島の生活になるべく近づきたいと思い
琉球古民家、外人住宅、海の見える家、の順で不動産を探した。
古民家はやっと口伝えで見つけても敷居が高く、外人住宅は異様に高く、
海の見える家は生活感の乏しいリゾート的なカテゴリーだった。

沖縄のアメリカ的な住宅地
           うるま市石川曙

 特にコンクリート平屋の外人住宅は広く使い勝手は良く、
雰囲気もありその多くが商業目的に使われ、人気が高かった。
しかし、建築から50年以上経つ住宅は、鉄筋の塩害腐食、コンクリートの
剥離も目立ちはじめ、カビ臭く、アリの侵入する住宅は一般人には暮らしづらい。
土地は広いが道路は急で狭く、行止まりには車の方転地のない箇所もある。

沖縄のアメリカ的な住宅地
           浦添市港川

 外人住宅の良さは、その住宅地としての環境にある。
米駐留軍は、宅地として最適な土地をいち早く確保し、
彼らの様式で彼らのために開発したからである。
その多くは風光明媚で、海を見下ろす緩やかな斜面地にある。


沖縄のアメリカ的な住宅地
          キャンンプ瑞慶覧

返還計画の進むキャンプ瑞慶覧の住宅地を見ると、
広い芝に点在する住宅地は塀の向こうのアメリカそのもので、
狭い住居の普天間の住民にとっては妬みと憧れの存在であった。


沖縄のアメリカ的な住宅地
            名護市辺野古

 一方、キャンプシュワブの歓楽街として栄えた辺野古の街は、
海の見える高台に建設されたアメリカ的な街であるが、今や衰退し
都市からも遠く、不動産の商業価値を高めるまでには至っていない。


沖縄のアメリカ的な住宅地
           読谷村瀬名波

 最近の沖縄の住宅地開発は、利便性のみならず、外人住宅地同様の
明るいイメージづくり、適地選定で開発されたものが多い。
一見、内地向けのバブル期のリゾート住宅地を想起させるが、
沖縄らしいシンボルの特徴もなく、60坪程度の効率的な街区の計画、
内地同様の画一的な住宅で、手頃な価格の住宅地を提供している。
その結果、投機的な所有者は少なく、即時入居希望者が多く
人気は上々で、地元の契約者がほとんどである。

沖縄のアメリカ的な住宅地
            読谷村長浜

 現在の沖縄の新住宅地は、大手により本土と変わらぬ宅地が造られ、
素材の意匠デザインを省けば、教科書通りで、アメリカ的あるいは
琉球的な新しい街をイメージするものは少ない。
生活の利便性が求められ、地方の市街地が衰退していく構図は
日本全国どこに行っても変わらない。
出生率が高く、人口流入も多い沖縄では、返還される米軍基地を区画整理
するだけでなく、以前にも増して海を臨む住宅地開発は続いていく。

沖縄のアメリカ的な住宅地
            名護市勝山




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Posted by Katzu at 01:45│Comments(0)沖縄
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