2017年06月18日
島にゆがふを運ぶ鳥
沖縄本島固有の鳥は多く、特に天然記念物のヤンバルクイナ、ノグチゲラ、ホントウアカヒゲなどが有名で幾度となく山に観察に出かけた。これらはその地を住処とする留鳥であるが、住居の周囲にもそれ以外の見慣れない鳥が多く生息することに気付いた。それは渡り鳥であったり、本土にいる鳥と微妙に異なる亜種だったりする。

森に入ると、すぐにヒヨドリ、シジュウカラ、ウグイスの順に聞こえてくるが、これも本土のものとも鳴き方が少し違う気がする。
海に行くと、イソヒヨドリをよく見かけるが、困り者の本土のヒヨドリとは全く異なり、小型のツグミ科である。
朝は波の音で起こされるより、鳥の声で起こされる方が幸運である。鳥の声は天気も安定しすでにエサ取りか巣作りの活動に入っている証拠であり、波の音は低気圧が近づいてうねりがあるか、天気が悪く波が高いかのいずれかである。車の音で起きた時はすでに寝坊している。
美しい声は画眉鳥かだれかが飼っているものと思っていたが、それは南西諸島限定のシロガシワと言う鳥で公園の木を根城にしていた。
連休頃から、キュルルルーという声が加わった。アカショービンであった。家の周辺を捜したが街の中にその姿は確認できず、オリオンビール工場の上の沢から聞こえてくるようであった。

名護という街は極めて魅力的な都市で、山と海が近く、ビールや泡盛の醸造ができるほど沢の水も豊富なのである。

アカショービンは名護城公園のシンボルであるかのように、この時期はいつも沢沿いから聞こえてくる。近づくとそれらしき影の動きはあるが、いまだにじっくりその赤い姿を確認したことがない。

500mくらいの縄張りがあるらしく、いつも同じスポットにいるが、赤く目立つ姿は外敵の恰好の標的になるはずなので、余計に警戒心が強いのかもしれない。
カラスは人間同様に鳥からも嫌われる。沖縄のカラスは街中よりも山中で見かけるが、虫や爬虫類、鳥の雛を食すためである。

先月のバードウィーク、野鳥の会の観察会に同行した。専門の方は鳥の種類だけでなく、見るポイントや時期、天候など周りの自然を含め感心すべきこと、学ぶべきことが多かった。いつも通り過ぎる大浦湾の汽水域から谷筋、羽地の田園にもバンやヨシゴイなどの陸鳥、カワセミなどがいることを知った。
ベニアジサシを探すために屋我地島から古宇利島に向かった。
周回道路から300mほど先の枯れ木に、大型の鳥が一羽木にとまっていた。コウノトリであった。国内では豊岡市が有名で街づくりや観光のシンボルとなっている。

国内のコウノトリ分布
1月に初めて沖縄で観測され、その後もとどまっている。大陸から渡ってきたものと思われ、もう一羽来るのをずっと待っているという話であった。この孤高の一羽のことが気になり、毎週末にロードバイクで出かけるようになった。
古宇利島は恋の島というキャッチコピーで、ハートロックには海外からも多くのカップルが訪れる。赤ん坊を運ぶコウノトリのイメージが話題となり観光にも一役買うことになろうが、一方SNSで発信され人が集まれば逃げてしまうことを危惧している。
幸か不幸か、もう3週間姿を見ていないので書き留めておくことにした。

渡り鳥のセグロアジサシが増え始めた。屋我地スコウジョウ(かってに命名)から見える松島には、白い姿が見えたが人の帽子だった。
環境省は屋我地島周辺の営巣地の島には近づかないように指導しているが、釣り人は後を絶たない。

アジサシは営巣地を毎年変えるという。昨年営巣していたこの島には今年はいなく、そのことを知ってか知らずか、子供たちが磯遊びしていた。

今年は釣り人が登れない、大橋からも見えるノッチの岩礁に巣作りをしている。
先週から名護港にも、セグロアジサシが2つがい飛ぶようになった。水面すれすれを滑空する流線型の姿は、最も美しい鳥の飛型であり、突然ホバリングしながら水に飛び込み小魚を捕る様は、ゴール前でパスを受けたストライカーを思わせる。
沖縄の渡り鳥は季節の変化を告げ、島にゆがふ(幸福)を運んでくる渡来人のイメージにも重なる。
今朝、古宇利島を走っていると背後から1m以上の大型の白い鳥が、音もなく追い抜いて行った。
Posted by Katzu at 23:15│Comments(0)
│里山の環境
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