この2年間に、国内のエコに対する関心が高まり、新しいエコ製品が
開発され、エコ産業といわれるまでに大きな成長をとげた。
それは単に消費者の意識をくすぐり、エコポイントを稼ぐためのもの
だったなら、全体的にエコが進んだとは言えない。
トータルでエコが達成されなければ意味がない。
エコロジカルフットプリント(EF)とは人類の地球に対する需要を、
資源の供給と廃棄物の吸収に必要な、生物学的生産性のある陸地・
海洋の面積で表したものである。
1980年代よりEFは地球の生物生産力(生産可能面積)を超過している。
このオーバーシュートの主たる要素となっているのは、化石燃料の使用である。
エコロジスト達は、環境問題をエコ活動に結び付ける活動を支えてきた。
地球温暖化を理論化することの難しさに加え、今回の震災による経済復興の
気運のなかで、おろそかにされる気配すらある。
しかし、化石燃料があと40年で枯渇する事実も、地球温暖化の事実も
震災前後では全く変わっていない。
むしろ、ライフサイクル見直しの必要性は、震災後より明確になった。
エコロジカルフットプリントジャパンでは、自分のライフスタイルを
世界中の人が、同じく行うとすれば地球がいくつ必要か、
をネット上で診断してくれる。
わたしの暮らしは地球何個分?
自分はかなりエコな生活と思っていたが、日本人の平均と同じ地球2.4個分とでた。
移動距離が大きいことがEF値をあげる結果になった。
将来、健康診断同様、このような診断に基づき、
個人のカーボンオフセットの取引が行われる社会が来るかもしれない。
欧州の旅行計画を立てていると、経路選択に
スピード優先、コスト優先、エコ優先という選択がでてきた。
具体的にどういう指標で決めているかはわからなかったが、
エコと言う言葉は、確実に彼らの生活に反映している。
日本人は数値目標が好きだ。
環境、安全、幸福などは数値化することが難しいが、
それを仕事にする人も多い。
今回の大震災のように、数字で片づけられなくなった時、
大自然に生身で対処する術を、同時に身につけることも必要である。