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震災後、生活の意識はどう変わっただろうか。
ロイターのWeb上のアンケートが、興味深い結果を示している。
『震災1年後あなたの生活に与えた最も大きな変化とは?』
という問いに対して、特に変わらない26%、以下、節電18%、
ネット情報を重視14%、無駄遣いをなくす8%、
海外に移住または検討中6%と続いた。
この設問の結果をわかりやすくまとめると、
1/4の人が何も変わらない生活を送りつつ、生活は節約しながら、
携帯・ネットの情報に頼りつつ、放射能の恐怖から逃れたいと思い、
人の気持ちに触れる行動にでたいと願う。
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個々の回答には首をかしげる人が多いようだが、
震災の影響が大きく反映された調査結果であると思う。
震災前のエコな生活とは、
環境保護や地球温暖化防止という教義で語られることが多く、
公共の福祉・利益という言葉に無関心な人にとっては、
理解できないことであった。
理論でCO2排出量を説明しても、潜在的な自然環境の価値を
金に置き換えても理解してもらえず、次の世代の子供の教育に委ねられた。
震災後のエコな生活とは、自分の身を守るための生活という、
さらに一歩踏み込んだ意義に変わった。
ガソリンが高くなれば生活・就労の支障になり、車の移動量が減る。
災害時の長距離の自己移動に備え、歩行・自転車への機関転換が増える。
津波が来たら、走らなければならない。
高齢者のために、小規模公共交通機関を整備しなければならない。
ものがなくなれば、隣町に買い出しに出なければならない。
電気を止められれば、一時的にしのぐ術を身に着けなければならない。
周囲の環境が汚染されたら、海外に逃れる覚悟を持たねばならない。
まちの人と行動を共にし、手を差し伸べれば、安心も生まれる。
その結果、健康的なエコライフを基本に見据えたあとに、
ようやく地球環境というテーマが見えてくる。
エコな生活とは、反経済的な生活である前に、
命を守るための生活の基本である。
震災前から、安心・安全・健康をテーマにしてきた街の環境創りとは、
裕福のあとに求められるものでないことを再確認した。