日本人のルーツ
大学時代、地質学の守谷教授が、地層の花粉より
沖縄とアイヌの地質的同一性を説いた。
柳田國男の
海上の道にも多いなる興味を持った。
二ライカナイ思想を信じ、南洋に探し求めた。
近年、DNAによる人類の起源の研究が盛んになり、
私の興味も佳境に入った。
母系遺伝子は
ミトコンドリアDNA,父系遺伝子は
Y染色体に
その痕跡が刻まれる。
その双方に共通する遺伝子を類型すると、
日本人のルーツに関して、以下の特徴があげられる。
1.人類の起源は
アフリカである。その中には3つのグループがあり、
それぞれ世界に分化していった。
2、日本人のDNA配列はアフリカの3つの要素がすべて含まれる。
3、この3グループに合致しないパターンが
台湾少数民族から見いだされた。
特に3については、
南太平洋から台湾に至る人の移動に関する
研究が現在注目されている。
遺伝子工学は、歴史、文化人類学の領域まで影響を与えている。
これまで日本民族は世界で例を見ない単一民族であると言われてきた。
しかし、アフリカから出た3つの人種はそれぞれ変化を遂げるが、
多民族の交わる海洋国家の日本に至り、オリジナルの遺伝子が
混合進化したと解釈される。
日本人のルーツを示す3つの流れとは、
A.旧石器時代、
バイカル湖周辺からカムチャッカに移動、
縄文人、アイヌとなる。
B.新石器時代、
朝鮮半島経由で渡来人がはいった。
弥生時代、金属稲作の伝播とともに、本土日本人となった。
C.南中国、
台湾経由あるいは太平洋南方から沖縄に
文化がもたらされた。
日本人はDNA上、多民族であるが、最も近い民族は朝鮮民族である。
でも、似たもの同士、互いに認めようとせず兄弟げんかしている。
C についての遺伝子工学上の証明はなされていない。
少なくとも台湾原住民と琉球人との遺伝子の共通点は全くない。
沖縄の
港川原人は縄文人というより、パプア・オーストラリア原人系
に近いが、絶滅した可能性も強い。
むしろ、人類の到達点が
与那国島と台湾の間にあるとすれば、
周辺地域において大いなる民族同士の同化・隔絶があったと
考えるべきだろう。
A、Bの
2重構造論についてはかなりの理解を得られているが、
Cの沖縄ルートについては専門家の意見は、今だ分かれている。
南方と沖縄を繋ぐ研究は、始まったばかりである。
資料:国立遺伝学研究所、NHK驚異の小宇宙
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