アジアメガシティの豪雨

Katzu

2012年08月27日 11:07



 クアラルンプールは人口500万人以上のアジア有数のメガ都市で、
公共建築物は空港・道路・建物・塔などいずれも、
世界一の巨大さを目指した都市づくりを行ってきた。
現在は上海、シンガポールにその座を奪われているが、
現在も高速道路網と公共交通の充実ぶりは際立っている。
街並みも伊勢丹や高層ビル群を、モノレールがすり抜ける景観は、
アジアに対する偏見と無知を払拭してしまう。

 しかし、アジア全般の巨大都市に共通な
都市災害に対する課題も見えてくる。
標高22m、8月の平均温度は27℃、
降水量は雨季の東南アジアにあって、月140mmと比較的少ない。
夕方の雷雨は日常茶飯事であるが、この日の雨は豪雨で
乗り換えのモノレール駅から動けず、雨の様子を見ていた。



 50mmを越える降雨強度の雨が1時間降り続いた。
幹線道路に水が溢れ、坂道を下り、下流側では濁流となり、
車の通行を阻んだ。



 道路も渋滞し始める。
横の公園に通じる道は池となり、
途中まで行った車がバックして引き返す。
マフラーがかぶったら車は走らないことを
地元の人はよく知っているようだ。
日本では、限界以上に冠水しても走る車をニュースでよく見かける。



 川の余裕高も限界で、この降雨強度であと1時間続けば、
計画高水位(HWL)を越えていただろう。
昨年のタイの大洪水を思い出す。



街の様子は至って冷静で、軒下で待つ人が多い。
傘をさす人は少なく、雨具も長靴を履いた人も皆無だ。
濡れて歩くか、待つかである。

 雨も治まり、ホテルに帰り従業員に様子を聞くと、
この程度の雨は日常茶飯事ではなく、正月の豪雨以来であるという。
ニュースでも流れていたが、市内の様子は変わらず、
人々は水たまりをさけて歩いていた。
急ぎすぎた街づくりが災害を引き起こす例が多いが、
ここではまだ、計画的街づくりと人の習慣が、
災害をかろうじて封じている。



 翌早朝は、コーランの読経とカラスの鳴き声で目がさめた。
平和ですがすがしい穏やかな朝で、
この国がイスラムの国であるのを忘れていた。

同時に大都市の抱える問題はどこも同じで、
ごみを捨てる習慣と増え続けるごみが、都会の荒廃を助長していく。

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