2012年04月28日

北国の大雪

 山形の春山に登り感じたのは、今年の降雪量の多さである。
写真は蔵王山頂駅の連休前の写真で、上が昨年、下が今年である。
今年は倒木も多く、枝ぶりも小さく感じる。

北国の大雪

北国の大雪


 樹氷はすでに消えたが、4月下旬でも気温はマイナスになり、
霧氷がトドマツを覆っていた。

北国の大雪


月山の姥沢では、未だに積雪6m以上の雪の壁が連なる。

北国の大雪

 山形気象台の記録によると、降雪量は1981年以来の414cm、
最深積雪97cmと30年振りの大雪だった。
1,2月の平均気温もマイナスで25年振りの寒波だった。
この原因はシベリアからの大寒気団のためである。
その来襲は、地球規模の気候変動の一つである、偏西風の蛇行による。

 地球は既に氷河期に入り寒冷化に向かうという説、地球温暖化が進めば
氷河期に向かう説、その他もろもろの陰謀説まである。
それぞれの説は正しそうでも、地域的に、時系列的に、
相対的に解明できる学説はない。
この現象は短絡的な従来の方法で気象予想をすることは可能だが、
実際のデータは嘘をつかない。
20世紀に入り人間が多くのエネルギーを排出し始めてから、
地球の平均気温は上昇した。
局部的に寒波でも、長期的には温度は平均的に上がっている。
北国の大雪
        山形の平均気温の変化詳細

 雪山に登り特に感じるのは、雪質の変化である。
学生時代は夏の雪渓でかき氷にして食べたものだが、
現在の雪の多い春山でさえ汚れて口にする気がしない。
人の入らない標高1200mの北蔵王の尾根付近で、
敷いた手ぬぐいが黒く汚れるほど、雪の汚染度は激しい。

北国の大雪

 温暖化と大雪で樹木が枯れ、土砂が流出したこと、
中国からの黄砂、大気汚染のためである。
恐らく酸性化も進んでいるのだろう。

 上越地方は、湿度の高い雪質のボタ雪で、積雪量は東北より多かった。
最近は東北の雪も湿度が高くなり、積雪量も上越地方以上になり、
サラサラの粉雪は珍しくなった。
地球環境の変化が雪の質を変えた。

 福島第一原発から100km離れたこの山域の空間放射線量は、
0.1μSV/h程度で、沖縄と変わらない。

 むしろ、地球温暖化という言葉に集約されない、トータル的な
環境の変化が、山を覆う物質を変えていることに危機感を感じる。
雑木林を切り開き、整然と植林された杉林を見ると、
花粉症や無機的な生態系のこともあり、人工林の美しささえあまり感じない。
CO2削減という切り札的理屈も通用しない段階なのだろうか。

北国の大雪



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Posted by Katzu at 13:54│Comments(0)山の環境
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