2012年05月14日

梅雨のやんばるの森

梅雨のやんばるの森

 この時期のやんばるは、イジュの花がきれいだと聞いて出かけた。
中部の恩納岳付近はすでに満開だった。
途中、国頭村のやんばる野生生物保護センターに寄った。
ここは環境省の施設で、やんばるの環境教育の拠点になっており、
山に入る前の情報収集にも役立つ。

梅雨のやんばるの森

 ヤンバルクイナのはく製を手で触るコーナーがある。
足が太く、思ったより羽根が大きい。
南洋では空飛ぶニワトリがいたが、鍛えれば飛べそうだ。

梅雨のやんばるの森

 センターでは、野生動物のロードキルの実態や、増えすぎたマングースを
捕獲するための、マングースバスターズの話も聞くことができた。
その作戦は、S-T防御ラインから北側の保護地域のマングースを駆除し、
北進を食い止める目的で、日々活動している。
登山道を外れ少し森に入ると、かなりの罠が仕掛けられている。

梅雨のやんばるの森

 やんばるの自然を知るには最適な、国の無料施設なので、
美ら海水族館だけでなく、かしこい家族連れには是非、寄ってもらいたいところだ。

梅雨のやんばるの森

 やんばるの森は、もう夏の風情だ。
与那覇岳の標高400m付近は、イジュの花も月桃の花も見えない。
樹高が高いため見えづらいためか、それともまだ早いのだろうか。

梅雨のやんばるの森

 内地では梅雨の6月下旬に咲くクチナシの花が咲いていた。
甘いかんきつ系の匂いがする。
クチナシはGardeniaの名の通り、鑑賞用庭木の品種が多いが、
もともとはアフリカ、南アジア原産の南洋の花である。
ビリーホリディのトレードマークでもあるが、
その花はアメリカ産の八重咲きのものだった。

 梅雨の花はなぜ白色が多いのだろう。
梅雨の緑に映える色は、花弁の白に雌しべの黄色。
甘い香りに虫が集まりたくなる。
色素学を研究しなくても、虫と植物の気持ちになると何となくわかる。

梅雨のやんばるの森

シロノセンダングサに止まったツマムラサキマダラは、
台湾からの迷いチョウで有名であったが、沖縄に土着している。

梅雨のやんばるの森

 山道から外れ、小さな沢に入ると、苔で足が滑り、
小さな滝になっていて、先に進めない。
水底の石にはサワガニがいて逃げて行った。
緑に包まれ、息苦しいほどの空気の濃さを感じる。

梅雨のやんばるの森

 クワズイモは名の通り、食べれなくて残念だが、
この大きな葉の下にはたくさんの生物が隠れている。

梅雨のやんばるの森

カタツムリは目当てのメロン色のアオミオカタニシは見つからず、
沖縄固有のオキナワヤマキサゴ、リュウキュウキセルカイモドキがいた。

梅雨のやんばるの森

梅雨のやんばるの森

この森では固有種のカタツムリが多く残っているが、
この時期のアフリカマイマイは、どこにかくれてやがるのだろう。
オオヒゲコメツキが葉から出たり入ったりしていた。

梅雨のやんばるの森

 この山の北東側はヤンバルクイナの生息域で、
夕方はそちら方面から鳴き声が聞こえてきたが、今日は聞こえない。
似たような波長の高いヒナ鳥の鳴き声が、草ヤブから
聞こえてきたが、定かでなかった。
シュラフもツェルトも用意していたので、駐車場で様子をみていると、雨が降ってきた。
シャワーのようになり林道を流れていく。
林道が通れなくなると大変だ。
今回はこの辺であきらめ、大国林道を北上し県道から58号線に戻る。

やんばるの森の魅力は、亜熱帯のルールのない
圧倒的な緑のグラデーションと生物の多様性である。

梅雨のやんばるの森
 



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Posted by Katzu at 21:47│Comments(0)山の環境
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