2016年12月31日

来世邂逅の道

 今年歩いた道の風景を思い出す。

来世邂逅の道
 ミャンマー北部幻のハリン遺跡に続く赤く乾いた道

来世邂逅の道
 韓国安東の日韓を巡る桜吹雪の農道

来世邂逅の道
 アマゾンのウォーターワールドと人を結ぶジャングルへの道

来世邂逅の道
 イグアスの悪魔の喉笛に降りる霧雨の舞い上がる遊歩道

と、いくつかの五感を刺激する道を歩いてきた。

来世邂逅の道

 その中で特に脳裏に残ったのは、意外にも地元月山の登山道だった。
今年は一度も山に登っていないと気が付いた9月下旬、初霜が降り既に晩秋の趣きのある弥陀ヶ原から登った。8合目まで車で登れる手軽なコースで登山としては少々物足りなく、8つあるうちの遠い庄内側からの登り口で一度も登ったことがなかった。

来世邂逅の道

出羽三山は西の大峰山に対峙する東の修験道の中心で、観世音菩薩の羽黒山、阿弥陀如来の月山、大日如来の湯殿山、の現在、過去、未来の三世を渡ることを意味する。
天気の良い日は月山を望めることのできる内陸に住んでいて、長い間、森敦の小説にある死の山・月山、生の山・鳥海山の対比の意味がよくわからなかった。

来世邂逅の道

草紅葉の美しい高層湿原である弥陀ヶ原はすでに冬の佇まいで、芭蕉も登った同じ山道を1時間ほど登る途中、月山の頂上を仰ぎ振り返った時、その謎が解けた。声を上げるほどの完ぺきな構図だった。羽黒山に続く稜線に平行して、真北に伸びる登山道の先には、神々しい成層火山の鳥海山があった。

来世邂逅の道

これから向かおうとする死と、過去の生を一瞬見せてくれたような、山岳信仰の風景であった。
頂上の神社にはすでに参拝客はなく、一羽のカラスが神社の守り神のように逃げる気配はなかった。

来世邂逅の道

出羽三山を開山した蜂子皇子は、三本足のヤタガラスに導かれ羽黒山にたどり着いたとされる。


来世邂逅の道

 その2か月前に行ったテオティワカンの死者の道を思い出した。
死者の道を行くと、デルガドの丘を背景にした月のピラミッドがある。その月のピラミッドに登り振り返ると、南の方角には太陽のピラミッドが、その右側に太陽の動きに合わせた方向に死者の道があり、太陽のピラミッドを避けるようにその先にはポポカテペトル山群があった。

来世邂逅の道

テオティワカンの太陽信仰は、生と死を天空を含めた修景に置き換え、太陽神を崇めたと言われる。
メソアメリカのテオティワカン文明と出羽三山の山岳宗教の栄えた時代背景も、標高もほぼ同じ自然条件で、海を隔てて似たような精神世界が作られ、その後の文明から現代の歴史に引き継がれていることが興味深かった。





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