原発事故が環境問題の大きな転換点

Katzu

2011年04月11日 05:00

 原発事故に虚を突かれた。 
 地球温暖化防止のための環境計画の提案、自然のモニタリングの強化など、
グローバルな取り組みが求められるなか、これからの活動の中心は、
都市環境と地球環境の維持がテーマであった。
 化石燃料消費型社会から、自然エネルギー利用への穏やかな移行のなかで、
原子力は認めざるをえない選択肢であった。
我々は環境エネルギー政策の中での不安感を捨て切れず、ソフトでクリーンな
計画だけを取り上げ、ハードなリスクに目をつぶっていたのかもしれない。

そして、日本人の安全安心の環境スキームを、根本から崩してしまうような事態に陥った。

世界の環境問題に主導的な立場をとるべき日本であったはずなのに、大きな痛手である。
 
 2日前、青森県六ヶ所村の原子燃料サイクル施設が集中する街を訪れた。
今回の事故の件もあり、原子力と共生する街とは、日本の未来を映すものなのか、
自分の目で確かめたかった。
向学目的の六ヶ所原燃PRセンターは震災の影響で休業中だった。
六ヶ所村は日本原燃関連の施設が集中しており、電源三法交付金200億円による
街づくりが進んでいる。
一般会計は同規模市町村の約3倍の約120億円である。
村民一人当たりの年収は約1300万円で、青森県内で最も高い。



 総合公園では野球場の片隅で一人だけが練習していた。
合計3つも運動場があるのに。
日本原燃では住民への安心の証しとして毎日、環境放射線レベルのモニタリング
結果が開示されている。
核燃料再処理施設の正式稼働は2年後に延期された。
施設類は海より高台にある。今回の大震災による停電では非常発電により冷却し
ており、漏水も確認したと報じられた。
過去には水ガラスの固化作業時に廃液漏水事故が起きている。

 なぜかこの街は緊張感を味わい、監視されているように感じる。
風力発電施設、石油備蓄施設をはじめとする巨大な施設と、運動公園、下北の
荒涼とした風景のスケール感の対比は景観的に面白い。

しかし、見せられないものがあるだけに、せっかくの景観の視点場が見つけられない。



 再処理場の隣接地には住宅団地が建設されている。
これだけの宅地は被災者の宅地供給には最適である。
最も、核の恐怖に怯えた住民がこの土地を選ぶかは疑問であるが。

 さらに20km北に行った東通村には東京電力と東北電力の四基の原発がある。
海のそばで宅地のエレベーションは8m程度で、今回の相馬原発と同じリスクを背負う。
今回の余震で緊急電源が作動し、今も停電している地域も多い。

早急に、両電力は補助電源システムを見直し、構築すべきだ。



 最近の一連の騒動で、核の恐怖とはこういうものだったんだと、
ようやく実感した。それは目に見えない不安感なのだ。

この下北地方の広い空間に、明らかな道筋をつけることは容易ではない

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