自然のグラデーション
建築家、造園家、絵描き、写真家、コンピューターグラフィックデザイナー、
工業デザイナーなど、 あらゆる設計・芸術にたずさわる者にとって
悩みの種が色のグラデーションである。
毎日、海を見ていても、朝夕晩、干潮満潮、晴雨、風、雲量によって
海の色は変化する。
やっとパソコンが会社に入った頃、担当者が
どんな色でも作成可能ですと言って作った自然石の色が、
どうしても現物に合わせることができなかった。
色は
明度、彩度、色相から成立つ。
それが1つ違うと人間は違う色と感じる。
最近は人間が認知可能な一千万色の中間色を
グラフィックコントローラーにより作成できるようになったが、
自然のグラデーションを表現することは不可能である。
なぜなら、色は時の変化で動き続けるからである。
3000万画素数のカメラで1断面を撮っても、
水のクリアな青を表現するのは難しい。
実際見た色を口で説明するのは、本末転倒であるが、
写真よりも記憶の色の方が、一緒に見た人間同士
同じ感覚を持つ場合もある。
日本では色が、
赤橙黄緑青藍紫の
7つに分かれるが、青系に偏っているのは、
海のグラデーションを感じていたからかもしれない。
山も同様で、もともと緑という色の概念はなく青の一種であった。
特に春の山が美しいのは、新芽の緑のグラデーションである。
この自然の営みを表現できるのは、それを知った者でなければ難しい。
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