自然エネルギーのデザイン
自然エネルギーを使った発電施設は、すべて効率化しているため、
形状は変化のない、機能的なデザインになる。
その施設は、自然の中では、大規模で単純なため、景観の支障になってきた。
風光明媚な自然景観に、大規模構造物は似合わないか、
という議論が盛んに行われた。
海外の途上国でも、日本以外の太陽パネルを使った製品が、
他国のODA絡みで設置され始めている。
このような景観を阻害する構造物を見ていると、残念でしかたがない。
トータルデザインに優れた日本製品の特徴を活かし、
安い海外製品との差別化をめざすべきだと思う。
その議論も政策も大震災・原発事故後、鳴りを潜めた。
原子力に替わるエネルギー開発が急務になったためである。
ドイツのBraunschweig工科大学のWolfgang Durner教授によると、
全世界のエネルギーを太陽光パネルで補った場合、
254km四方の面積で足りると試算している(2005年値)。
もちろん砂漠にこれだけの施設を作ることは、景観的な議論以前に困難であるが、
夢物語でない段階に来ている。
ニューヨークにあるアメリカ自然史博物館の、Young Naturalist Awardを
受賞した少年のニュースが流れた。
このデザインアイディアには、舌を巻いてしまった。
13歳のエイダン少年は、太陽光を受けて成長する木にヒントを受ける。
パネルを木のデザインにしたらどうだろう。
しかも、葉の配列をフィボナッチ数の解析から効率的なデザインを見つけ出した。
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ここまで来ると大学の卒論レベルだが、それ以上に感心するのは、
デザインコンセプトを作りあげていく過程の整然さである。
これが、今求められている環境デザインの理想型であろう。
シニア世代はともかく、モノ作り日本の若い技術者に、
このようなデザイン発想ができるだろうか。
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