ブータンのワンチュク国王夫妻の来日が話題となった。
ブータン国は、前国王が
GNP国民総生産よりも、
GNH国民総幸福を目指した国策が注目されている。
もちろん、国という形態を取っている以上、貧しい層、士族の違い、
ジェンダー、宗教上の違いはあるわけで、幸福な国などは世界中にはない。
あるのは、イマジンの歌の世界だけで、平和で平等な農村国家が、
実はポルポトのカンボジアだった例さえある。
ブータン人は日本人に似た農民のイメージがあるが、
以前会ったブータン人は、実直で英語が達者な、賢い若者達であった。
ブータンにコンピュータ技術を教えに行った若者は、
彼らの生活を幸福にするのはコンピュータなのか大いに悩んでいた。
米ギャラップ世論調査(2010)によると、世界一幸福な国は
デンマーク、フィンランド、ノルウェイと北欧勢が占める。
8位にイスラエルが入っている。
イギリスの新経済財団(NEF)の2009年調査では、コスタリカ、
ドミニカ共和国、ジャマイカとカリブ海諸国が上位になっている。
その前の2006年調査ではバヌアツが1位だった。
ブータンは上位で、日本はどちらの調査でも先進国の最下位の方である。
アメリカ人は一人当たり資産の多い国に、イギリス人は、老後、
南洋の島で暮らせる国に幸福を求めているように思える。
UNDP(国連開発計画)の講習会で、バヌアツの紹介があった。
同僚のパラオ人が呟いた。
「俺達パラオ人はバヌアツ人の3倍も金を稼ぎ、車も船も携帯も
テレビもあり 裕福になったが、昔のパラオの島の生活の方が
幸せだったのかもしれない。」
「それは僕も一緒さ、日本人の僕は君の3倍も稼いでいるけど、
どう見てもパラオ人の君の方が幸福に思える。」
資産と幸福度は比例しない。反比例しているとさえ思える。
日本国内でも同様に幸福度調査が行われている。
住みやすい都市なども同様で、北陸などの地方都市の方のランクが高い。
夫婦の幸福度調査では、年収300万以下の夫婦の幸福度が最も高い
という結果が出ている。
結果はこちら
島根県隠岐郡海士町の総合振興計画のテーマは
“島の幸福論”である。
幸福を科学的に追い求めると宗教的になってしまうが、
町民に解り易く指標を図解している。
所得・教育より安心安全・自然環境を幸福の目標にしている。
海士町総合計画はこちら
東京都荒川区の“荒川区民総幸福”が先駆けているが、
他に瀬戸内市の幸福実現都市、阿賀野市の幸福祉都市、
静岡県の“県民幸福度の最大化”など、都市マスタープランの
幸福度ブームは続くだろう。
EPI(環境パフォーマンス指標)とは、2006年のダボス会議で、
各国の環境パフォーマンスの達成度を、16の指標に基づき調査、
公表されたものである。
その調査指標は6つの政策分野に分かれている。
1、環境衛生
2、大気の質
3、水資源
4、生物多様性および生息環境
5、生産天然資源
6、持続可能なエネルギー
「環境パフォーマンスとは、自らの環境方針・目的および目標に基づいて、
組織が行う環境側面の管理に関する、環境マネジメントシステムの
測定可能な結果をいう。」
詳細はこちら
1企業のISOにも通じるが、環境負荷の少ない社会を目指した、
環境にやさしい国づくりを行っているかを表す指標である。
2010年の上位はアイスランド、スイス、コスタリカの順位で、
日本は20位と先進国のなかでは上位に、ブータンは40位と
途上国の上位に位置するが、原発事故後、逆転しているかもしれない。
個人の幸福度を、周囲の環境が安全に包み込む、
トータル的な環境をつくることが、幸福の達成をもたらす。