東北に居て沖縄に戻ると言うと、ほとんどの人は『暖かくて良いですね』という声が返ってくる。沖縄に来ると『大変でしたね。きれいな所で一度行ったことがありますが、とても住めません。』と返答される。
本音、やっかみ、とも取れるが、いつも本土と沖縄の感覚のズレを感じる。
琉球新報の広告に八幡平の樹氷鑑賞ツアーとあり、バンコクツアーの7万円と同じ値段だった。ちょっと高めで、何もこんな時期にと憧れに近いものさえ感じるが、映っていたのは蔵王の樹氷だった。
気温の比較
沖縄では今年、雪こそ降らないものの、毎日寒風が吹き体感気温は一桁台である。最近1か月の平均気温は名護16.6℃、山形―0.2℃と約17℃の開きがある。この時期は朝に発って夜に着くと大抵20℃の温度差になる。しかし、年平均最高気温は名護25.6℃、山形16.7℃と9℃差があるが、8月平均ではそれぞれ31.6℃、30.4℃とほとんど差がない。
名護に居ると、この時期に薄着で疾走する内地から来るサイクリストやランナーに失笑することはあっても、震えながらゲート前で反対する地元の老人方には敬意を表するばかりで、国政に反対する輩などとは決して口が裂けても言えない。
生活の比較
北国と南国に分けて、一年を通した生活費を私的に比較してみた。
アパート代、公的な健康保険・年金などは大差ない。食費・雑貨類は、一般的に離島の方が消費者物価は高いと言われているが、全国物価地域差指数では沖縄県が最も低い。同一品目の物価比較では高いが、地物品目、薄着、流通ルートの違いなどがあり、感覚的にも生活費は沖縄の方が断然安い。
その中で最も大きい違いは、水道・電気・ガスの公共料金であった。
マンションと一戸建の違いはあるが、家にいる時間を加味すれば同等の一人住まい条件である。
年間の月平均を計算すると、水道で2倍、電気で6倍、ガスで3倍という驚愕の結果となった。沖縄では沢水を飲用し、自家発電をして、寒暖を我慢していた訳ではないが、エコに対する意識の違いが最も大きい。その差は、施設の古さ、契約基数、電気の熱量差による影響もあるが、それ以上に供給側の単価が高いことに気が付いた。
その水道料金単価は約2倍、ガス料金は同じく約2倍であった。水道は過去の水道計画が原因であることは明白だが、ガスは全国ガス料金比較サイトによると、プロパンと都市ガスの違いを考慮しても全国最低と最高レベルの単価差という返答を受けた。これに暖房の灯油費を入れればその差は歴然となる。
東北の人間は我慢強く、光熱費は生命にかかわる為、受け入れざるを得ないと長年生活してきた訳であるが、原発事故の経緯もあり、沖縄から見ると、デモをするどころか疑問の声を上げる人さえいないことを不思議に思う。
沖縄は一人当たりの公共投資額は全国平均以上で、路上生活者がいない豊かな島だと言う人もいるが、額面以上に年収が多いとは決して思えない。
その理由はこの写真ですべて説明がつく。
亜熱帯と温帯の違いは大きい。
自然環境の変化は生活環境だけでなく人々の慣習や性格までも変えてしまう。沖縄ではガラスの割れた窓をガムテープで補修した車をたまに見かける。ヤシの実の落ちる南洋ではよく見かける光景で、大らかというかあまり体裁を重んじない。
山形では穴の開いた車はおろか、バンパーの傷のある車さえあまり見かけない。南洋の人から見れば、よほど潔癖で裕福な人々だと思ってしまう。これをストレスと感じるかどうかの違いは大きい。
国内外のリタイア組の熱い視線を受け、人口も増え続け発展する沖縄ではあるが、その社会増の半数は1~2年で帰っていくというデータもある。
その理由は日増しにわかってくる。