1年前山形に戻って、街で変ったことは、
七日町の自転車専用レーンの設置であった。
各地で行われている交通実験であるが、興味を持って成り行きを見守っていた。
日本では下の東京都阿佐ヶ谷の例がある。
マーキングだけでなく、ハードに自転車専用レーンだけが分離し、
上下2車線を片方にまとめる方法は国内では珍しい。
生活ルールを変えるほどの交通ルールの変化を、よく実行できたと感心する一方で、
冬を迎え、1年以上経った今、大いに議論すべきだろう。
ここに至る経過は、非常に日本的な判断であったと思う。
その特徴は、
1、歩行者の安全性が優先された。
2、自転車が交通弱者として安全に防御された。
3.狭い道路空間に、無理やり交通機能を入れなければならなかった。
4、商店の売り上げが、是非の争点となった。
5、トータル的な都市交通の議論に発展しなかった。
これらの成り行きを見ると、客観的な事象が見えてくる。
1、自転車は、スピードが速く、危険な交通機関である。
2、自転車はバイク同様のルールや、安全対策を取る必要がある。
3、必要な交通機能を、臨機応変に配分する道路レイアウトを計画する。
4、商店の荷捌き計画と駐車場計画、駐停車対策をリンクさせる必要がある。
5、買物目的、通勤通学の公共交通と自転車との競合を考慮する。
6、二輪車と駐停車のルール作り、遵守教育が必要である。
これを、欧州の例で対比させると、
日本の習慣、美観に合わない部分はあるが、
単にあいまいな文化の違いでない、合理性が見えてくる。
1、二輪車レーンを自転車、バイクが同じレーンを同じスピードで走る。
オランダ:アムステルダム
二輪車は、広い歩道内の通行は禁止で、車道路肩を走る。
フランス:パリ
2、右折レーンと直進レーンの間の、優先された二輪車レーン。
オランダ:デルフト
ボラードで区分、歩道は違法駐輪駐車帯?自動車は車道以外の
空きスペースを探し、悪者扱いになった歴史がある。
オランダ:アムステルダム
3、交通機能が集中する都市内幹線道路で、路上施設のない歩道と二輪車レーン。
オランダ:アムステルダム
駐車帯、二輪車レーン、ボーンエルフ型歩道の標準的街路パターン。
フランス:ルーアン
駐車帯と、歩道内の往復二輪車レーン。
ドイツ:ハイデルベルグ
4、中心市街地の地下駐車場入口、歩道、搬入路、トラムの競合。
フランス:ストラスブール
5、トラム、バス専用レーンと二輪車レーンとの共用。
フランス:ナンシー
6、二輪車レーンに駐停車した車は、交通犯罪ですぐ捕まる。
自転車は追い抜く時に、手で合図する。
オランダ:デルフト
解決策は既に、10月の警察庁の通達が、おおよそ示している。
自転車は車両であり、車道通行が基本である。
自転車は左側通行。車同様の交通ルールを課し、
児童はヘルメット着用を検討など、自転車の解釈が変わりつつある。
冬になって、除雪や消雪は機能しているかも検証する必要がありそうだ。
一方通行の道路の場合は、基本的に自転車も一方通行になる、
という感覚を常識と考えるか、が一つのカギである。
フランス:ナンシー