2つの桜前線

Katzu

2012年02月06日 20:00

 

 マイカーが雪で埋まっっている画像が届く。
雪かきを繰り返してもすぐ積り、積雪は1mに達したという。
30年近く見たこともない光景である。
雪国では、4月下旬の桜まではまだ遠い夢の世界である。
雪下ろしの転落、落雪には気の抜けない日々が続く。

同日、1800km離れた本部町の桜まつりのニュースが流れる。
平均20℃の気温差、サクラ開花3か月のタイムラグがある。
日本ほど自然の変化の著しい地域はない。



 日本一早い沖縄の桜はヒカンザクラである。
ソメイヨシノは咲かない。
正確には色の薄いリュウキュウヒカンザクラ、濃い紅色をヒカンザクラという。
本土のエドヒガンとも違う。
彼岸桜との混用を避けカンヒザクラと命名したが、余計に混乱する結果になった。
しかも八重岳に咲くのは、紅い八重桜ではなかった。
ソメイヨシノオオシマザクラとエドヒガンとの交配種だが、
東北の山桜はオオヤマザクラという異種でこれも混用しやすい。

さらに、
内地の人の混乱は続く。
八重岳の桜まつりに行くが、桜見をする習慣の違いに驚く。
桜見は車内から見る。
屋外宴会なしで、餅を食べる。
外人客が多い。



そして、沖縄の桜前線は南下する。

ヒカンザクラが開花するための気温は、10℃と言われ(ソメイヨシノは5℃)
その前の寒さ体験が必要とされる(休眠打破)。
沖縄ではこの寒さ体験が、開花を誘発する因子と言われる。
八重岳の桜は丁度、里に下りてきたところであった。
開花期間が長く、ソメイヨシノのような桜吹雪は見られない。

 ソメイヨシノの開花予想は、積算温度算定と休眠打破の日の
相関関係により、想定できると言われてきた。
しかし近年、地球温暖化、ヒートアイランド現象、局地的低温現象などにより、
開花予想の地域ごとのばらつきが起き、
現在、気象庁は開花予想を行っていない。
従来の温度変換日数法の定数が変わっている為とも言われる。
かわりに、(財)気象協会、民間数社が開花予報を出している。
その精度は年々上昇しているが、毎日予想を更新しても、
地点によりプラスマイナス1週間の誤差がある。



 では、ソメイヨシノとヒカンザクラの開花の境界はどこなのだろう。
ソメイヨシノは種子島で2月、ヒカンザクラは奄美大島で正月に開花したらしい。

つまり、桜前線は1月にトカラ列島付近から、ソメイヨシノは北上し、
ヒカンザクラは南下するという仮説が成立つ。


 桜は600種類あると言われる。
派手に咲き派手に散るソメイヨシノは最も人気があるが、
樹命もせいぜい70年と短い。
オリジナルのエドヒガンやオオヤマザクラは、寿命数百年のものもあり、
どちらも薄紅色のしっかりした色で、寒さにも強い。
全国にはご当地桜があり、それぞれ地元に愛されている。


                         西蔵王西行桜

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