せわしい清明
南の島は祭事が多い。
沖縄で3大祭事のひとつと言われる「シーミー」は中国から伝来した習慣で、
旧暦の3月の吉日を選んで行われる祖先祭である。
中国の暦法にある二十四節季の一つ「清明」(せいめい)の季節に行われる。
門中墓に各家持参したお重の料理を供える。
今年は4月4日が清明にあたるが、その日は休日になることもなく、
普段の生活と変わりなかった。
日取りはユタが決め連絡してくるらしい。
芭蕉布で有名な喜如嘉では、アヤメ科のオクラレルカがちょうど満開であった。
清明のこの時期に紫色は良く似合い、お供えの切り花を買い求める人も多かった。
ヤンバルはのんびりしていて落ち着くが、この時期はちょっと違う。
高速道路は清明渋滞が予想されている。
隣の家では珍しく子供が山羊と一緒に草むしりをしている。
スーパーのレジや天ぷら屋も人の列が絶えず、
街全体が忙しく清明の準備をしている。
この時期、運悪く遊びに来た観光客は忙しい沖縄を経験する。
街と祭事の関係が強いほど、街のコミュニティも保たれる。
沖縄はまだ結いの精神が残されている。
さらに忙しさを助長したのが、北朝鮮のミサイル発射に関連した動きである。
「J-ARERT」のトラブルによる各市町村での再試験や、自衛隊のPAC3配備
による人と装備の移動、マスコミの来島がその原因である。
島民は配備反対の抗議活動も行っている。
自分の島を守るのになぜ反対なのかと思う内地の人もいるだろう。
しかし、それは歴史体験の違いであり、銃を抱えた自衛隊員に対する嫌悪感は、
平和教育の影響もあるが、沖縄では未だに強い。
逆に、沖縄へのがれき受入に反対する東北の母親の気持ちは、
沖縄の人には理解できないかもしれない。
私にもわからないが、病的で宗教的な活動なのか、
客観的に見る目が必要であろう。
風雲急を告げるせわしい沖縄の清明である。
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