音のある環境

Katzu

2012年06月24日 02:26

 音の風景というNHKのラジオ番組があるが、
その土地特有の音というものがある。



台風の夜、雨雲が去り、ゴォーという音が聞こえてきた。
海の波涛の音だった。
海中道路が封鎖され車の音が消え、
いつもは聞こえない海の音が聞こえてきた。
離島の民宿で良く聞こえていた音だった。
珍しく眠れず、夜のしじまに、じっと耳を傾けていた。
沖縄ではこの台風がすぎ、梅雨明けすると、
エイサーの音が聞こえ始める。



 生まれ育った土地の音は、どんな音だっただろう。
蝉の声、川のせせらぎの音、祭りの音頭?いや違う。
雪の降る音というものがある。
シンシンと音がする、と言うと経験のない人は興味を持つ。



雪の降った朝はよく寝坊し、起きる前に雪が積もったとわかる。
雪が、普段の音を吸収し静かになるからだ。
沈黙の雪山で、突然聞くバシッ・ドシャと言う音は、
積もった雪で枝が跳ね上がる音だ。
The Sound Of Silenceという曲は、雪国の環境で創作されたものだろうか。



 南米ではいつも街中に音楽があふれていた。
国ごとに特長のあるフォルクロ―レ、ラテン音楽が至るところで耳にした。
リオでは、カルナバルの時期でもないのに、空港から歩道に至るまで、
音の洪水に覚醒され、いつのまにか体がサンバのリズムになじんでしまった。



 アジアの発展途上の国々では、なぜか朝早すぎるニワトリの鳴き声のあと、
クラクションの音とともに起こされるという音環境はどこも共通である。

 台風が過ぎた今朝の砂浜は、珍しく静かすぎて波もない。
大波で古いサンゴのかけらが、護岸ブロックの上まで打ち上げられていた。
サンゴ礁特有の、波でカラカラと響く音が好きであるが、
すぐ車の音でかき消されてしまった。


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