冬の間、サイクルイベントに県外からも観光客が集まる沖縄ではあるが、
安全に走れる市街地の道路は、意外に少ない。
アメリカ型の道路整備が先行し、場当たり的な公共整備が進んだ沖縄では、
路肩も狭く、途切れ途切れに自転車の走る道を選択しなければならない。
気候的に常春夏の南島なので、紫外線は強いが気温は安定している。
しかし、自転車利用が少ないのは、雨と風による理由が大きい。
特に、冬の北東の風と台風の季節は、自転車に乗れない日が多い。
地理条件は、狭く急峻な隆起サンゴ礁の複雑な地形で、
坂道が多く、ママチャリでは上れない箇所が多い。
平成20年に原付バイクの販売台数を越えた電動アシスト自転車は、
全国的に普及しているが、沖縄では十分に普及していない。
自転車インフラが進まない理由に加え、金属類が腐食しやすい環境であること、
自転車利用率が低く、自転車に乗る経験が少ない婦女子が多いのも事実である。
戦後の交通政策の誤りは、自転車と歩行者の供用を
自歩道というあいまいな解釈で道路を整備したことである。
沖縄でも同様で、基本的に自転車は道路という通達がされたのは
昨年のことで、路肩を通行できない都市計画道路も多く施工してきた。
もちろん、都市計画道路網の整備は必要だが、無駄な計画路線を見直し、
安全に自転車が通行できない道路は、改築しなければならない。
交通弱者対策と交通機関の分担と利用促進は、同じ視点が必要である。
特に、市街地の歩行者ネットワークの整備は、車道網以上に大切で、
視覚障害者用ブロック網の計画と、自転車網の計画は、
同じレベルで同時に進行しなければいけない。
今まで、自分の関わった計画の中で、自転車道を含む緑道の整備を
提案してきたが、そのほとんどは機能していない。
若気の至りで、反省すべき点が多いが、
その原因は、すべて自転車への理解と利用率の低さにあった。
海外では、自転車が生活の一部になっている欧米だけでなく、
大気汚染の進む中国や韓国でも、国をあげて自転車のシェアリングや、
交通機関の転換を模索し始めている。
自動車で経済が豊かになり、車社会が発達しすぎた日本であるが、
同じ悪循環に陥らない交通のシステムを提案、実践すべきだと思うのである。
自転車利用が、地球温暖化対策の最後の施策とまで言われる現在、
低炭素型自動車の普及と自転車への交通転換の取り組みを、
今から始めなければならない。
アメリカ型車社会の歪みから生れた沖縄の道路を、
きれいな海と増える交通量、エコアイランドとCO2増大の
大きなギャップを感じながら、毎日ペダルを踏んでいる。