気象庁では昨年の九州豪雨に、『これまで経験したことのないような大雨』という初めての表現を用いた。
今年に入り7月末の熊本・大分、山口・島根に続き、今日は秋田に最大限の警戒が呼びかけられた。
『これまで経験したことのないような大雨』とは、1時間の降雨量が100mmを超えることが条件となるが、
確かにそのような雨は、今まで設計上想定したこともないし、自分自身経験したこともない。
東北地方で豪雨・長雨となった酒田の7月の降雨量は、観測史上1位の785mmと例年の3.8倍だった。
豪雨後の最上川は、水位がH.W.L一杯の、五月雨でも見たことのない様相であった。
各地を襲うゲリラ豪雨や、熱帯のスコールは、息もできない程の降雨強度の時もあるが、
1時間以上降り続くことはまれである。
この降雨強度に耐えうる河川土木構造物は、国直轄の一級河川程度であり、標高の高い所に逃れる
ことが肝心であるが、土砂災害の危険があるので、津波の避難のように競って山に逃れる必要はない。
防災計画の徹底と、日頃から避難地を確認しておくことが肝心である。
一方、太平洋高気圧に覆われた沖縄では、1か月安定した天気で穏やかな快晴が続いている。
観光客にとっては本土より最高気温が低く、微風もあり過ごしやすい条件であるが、
実は深刻な状況に陥りつつある。
この沖縄の夏は、これまで経験した中で最も平均気温が高く、雨が降らない。
名護の8月に入ってからの平均気温は30度を超え、夜もクーラーが欠かせない。
7月の総降雨量は58mmで、酒田市の7月に降った雨の7%に過ぎない。
今月はたったの1mmしか降雨がなく、このままでは少雨の観測記録を更新し、
干ばつの様相を呈しつつある。
あとは台風頼みとなるが、パラオ近海の熱帯低気圧の動きが緩慢で台風になる様子もない。
今後、中国を含め、広大な高気圧に覆われた南の太平洋地域では、
今後も高温・少雨の熱夏が続く可能性が高い。
このように、日本列島は大雨地域と高温・少雨地域に2極化する傾向にある。
Cooperative Institute for Meteorological Satellite Studies
Space Science and Engineering Center / University of Wisconsin-Madison
この振幅の激しい異常気象は、ラニーニョ現象、偏西風の蛇行、ヒートアイランド現象などの
混合した要因にあるとされる。
東アジアの風向きを見ていると、かつてない偏西風の動きが活発で、台風並みの空気の乱れが、
大陸から日本に放り込まれているような印象を受ける。
気象庁の毎日の気象記録を見ると、日本のどこかで、過去の気象記録が更新されている。
このような、過去のデータが活かされない異常気象の状況では、
それをこうむる市民に必要なのは、気象情報の正確さよりも迅速さである。
その意味では、気象情報が読者から送られ、逐次に集約される
Weather Newsのゲリラ雷雨CH
のようなリアルさが、都市に住む人間にとっては最も有効な気象情報になるのかもしれない。