2011年03月30日

渚にて…..TSUNAMIの去ったあとに

 震災後1次救援が終わった段階で、今日初めて被災地に行った。
復興計画の初動調査と救援活動の先遣調査のためである。
名取市から仙台市若林区にかけて、自転車で被災状況を把握した。
昔何度か訪れた荒浜にやっとたどりつく。

渚にて…..TSUNAMIの去ったあとに
 生活も財産も人も思い出も、すべて洗い流したあとだった。
サーフィンの姿も、子供の笑い声も聞こえない。
静かで、清潔で、無機質で、アナクロ写真のような誰もいない、
今まで見たこともないような美しく悲しい砂浜だった。
砂の風紋が音を閉じ込めていた。

 浜の護岸にはすでに、花やカップが捧げられていた。
原発事故も同時進行形で報道されていることもあり、放射能が降り注いでいるかもしれない砂浜で、
SF映画の「渚にて」を想像していた。第三次世界大戦後生き残った原子力潜水艦を描いた
ネビルシュートの小説を映画化したものである。

渚にて…..TSUNAMIの去ったあとに
 この地区のRC造と鉄骨造はほとんど灰塵に帰した。
原型をとどめる構造物は耐震設計の厳しい橋梁、樋門や、力学の応用が必要なクレーン塔、防災無線、
携帯基地局などである。タイムトラベラーがこれを見たらどう思うだろう。
映画「猿の惑星」のラストシーンのような場面を想像してしまう。



 渚にて…..TSUNAMIの去ったあとに
 風景に残されたものは海と砂浜と空と林のシンプルなデザインである。とりわけ江戸時代に植林されたと言われる松の防砂林は、まるでオアシスのヤシの木のようである。

そして復興の足掛かりは今はじまったばかりである



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Posted by Katzu at 03:31│Comments(0)大震災
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