2011年04月27日

震災1ヶ月後の達観

三陸は今
 この1ヶ月間、被災地の現場を5度ほど往復したが、
行けなかった町があることが心残りで、
三陸の久慈から陸前高田まで2日間かけてまわった。

震災1ヶ月後の達観

 現場で急がれるのは、まだ瓦礫の撤去と、健康医療支援である。
連休に入り多くの車が入れば、やっと開通した仮設の国道は、
機能しなくなる。
宿泊場所がないので、近隣市町村から朝夕集まってくるが、
被災地の主要都市の朝夕の渋滞はひどく、市内を抜けるまで
1時間も掛かる場合がある。
国道以外の被災地の生活道路は1車線、運搬車のために確保
されているが、タイヤがパンクしやすく基本的に入れない。

 迷惑にならないのは、せいぜい自転車くらいだ。
しかも、粉じんと臭気のためマスクをしての運動なので、
汗だくで苦しい。


震災1ヶ月後の達観


 瓦礫の処理は2年かかると言われている。
全体的に撤去は1カ月で進んだ方だが、交通の便の悪い地域は、
今でも道路復旧と遺体捜索が続いている。

 こんな状況で、どこにも自衛隊が活躍している。
平和の国の国難とはいえ、毎日テント生活をしながら、遺体探し
から瓦礫運びまで、戦争を知らない人間には精神的にもきついと思う。
職業とは言え、えらいと思う。

震災1ヶ月後の達観

 もっとえらいと思うのは、無償で手伝いに来ている人たちだ。
ようやく各市町村にはボランティアセンターが立ち上がり、
当日の受付から手配まで機能し始めている。
海外で活動している仲間から、帰国後すぐに被災地で活動したいと
メールを受けたりすると嬉しくなってしまう。
バスで駆けつけ、瓦礫の撤去を手伝う学校単位のグループもある。
今の若い世代の人達には、福祉の意識が浸透していると感じる。

 若い彼らが、日本の未来は明るいと感じる唯一の希望だ。
 
一方、渋滞中にラジオの国会中継を聴いていた。
一部の議員を除き、心に響かないのは、現場を見て発言していないと
すぐわかるからだ。
仮設住宅建設以外の実務的な話がほとんどなかった。
日本のガバナンスの閉塞感を世界中に発信しているようなもので、
聴いていて恥ずかしい。
彼らには、首相下ろしや課税の話より、命がけで災難に当たって
いるという気概とビジョンを見せてほしい。

 今でも余震の続く現場では、防潮堤の壊れた津波警戒区域で、
多くの支援車両と支援者が入り活動している。

震災1ヶ月後の達観

 その中で、明るい話題は、避難所付近は笑い声も聞こえることと、
町には学童たちが多く見られるようになったことだ。



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Posted by Katzu at 19:35│Comments(0)大震災
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