2011年11月25日
COP17の行方

今週、京都議定書に代わる国連気候変動枠組条約会議が、
南アフリカのダーバンで開かれる。
COP16のカンクン会議では、途上国の意見も出され、
2013年以降の第2約束期間までの空白期間を設けないこと、
京都議定書の延長を、次回協議することが確認された程度で、
課題は今回のCOP17に先送りされた。
日本の立場は2012年に失効する京都議定書について、
CO2最大排出国の、中国、アメリカが批准しない限り延長はしない
という立場をとっている。

日本の削減目標は1990年比で-6%であるが、
リーマンショック後-4%に達したが、震災後火力発電の負担増で、
+7%という試算もあり、達成は容易でない。
鳩山首相が表明した2020年25%削減目標は、
福島原発事故で吹き飛んでしまった。
下図は、CO2・1tを排出して生産される一人当たりのGDPであるが、
日本は既に、世界で最もエネルギー効率のいい経済活動を行っていることがわかる。
総体的にその省エネ効率は、アメリカの約2倍、中国の約5倍である。
このCO2排出2大国(世界の41%)が、削減の意思を示さない限り、
温室効果ガス削減の道筋は見えない。

一方、CO2削減の最大の課題は、環境の南北問題である。
発展途上国は、CO2の増大原因は西欧の近代化にあるため、
その恩恵を享受する先進国が負担し、自分達がその生活レベルに達するまで、
CO2削減義務を持たないという論法である。
環境先進諸国の欧州が経済危機で減速し、日本も震災と原発問題で削減目標を
示せない現在、COP17が実質的な枠組みの締結に至らないのは明白だ。
国際的な取り組みで行う、地球温暖化防止の道筋は閉ざされた。
で、あろうか。
日本は、政治的にも、経済的にも、軍事的にも世界に貢献できない立場にある。
京都議定書は、世界の環境政策を引っ張る、優れた協定であることに変わりはない。
それがTPP交渉のような経済交渉になった途端、足並みが乱れた。
京都議定書ではJI/CDMクレジットというシステムで運用されている。
削減目標だけでなく、CDMプロジェクトの拡充や、海洋の吸収源対策なども含め、
本来日本は、ポスト京都議定書を提案すべき代表国であるはずだ。
国際的枠組が決まらなくても、日本独自の2国間CDMを積極的に行って
シンパの途上国を拡大し、同時に環境技術、省エネ技術を活かしながら、
環境産業を海外、特にBRICS諸国に展開すべきだと思う。
Posted by Katzu at 01:58│Comments(0)
│エコ
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