2011年12月31日

山形市七日町交通実験の行方

 1年前山形に戻って、街で変ったことは、
七日町の自転車専用レーンの設置であった。
各地で行われている交通実験であるが、興味を持って成り行きを見守っていた。
日本では下の東京都阿佐ヶ谷の例がある。
山形市七日町交通実験の行方

 マーキングだけでなく、ハードに自転車専用レーンだけが分離し、
上下2車線を片方にまとめる方法は国内では珍しい。
生活ルールを変えるほどの交通ルールの変化を、よく実行できたと感心する一方で、
冬を迎え、1年以上経った今、大いに議論すべきだろう。
ここに至る経過は、非常に日本的な判断であったと思う。

山形市七日町交通実験の行方

その特徴は、

1、歩行者の安全性が優先された。
2、自転車が交通弱者として安全に防御された。
3.狭い道路空間に、無理やり交通機能を入れなければならなかった。
4、商店の売り上げが、是非の争点となった。
5、トータル的な都市交通の議論に発展しなかった。

これらの成り行きを見ると、客観的な事象が見えてくる。

1、自転車は、スピードが速く、危険な交通機関である。
2、自転車はバイク同様のルールや、安全対策を取る必要がある。
3、必要な交通機能を、臨機応変に配分する道路レイアウトを計画する。
4、商店の荷捌き計画と駐車場計画、駐停車対策をリンクさせる必要がある。
5、買物目的、通勤通学の公共交通と自転車との競合を考慮する。
6、二輪車と駐停車のルール作り、遵守教育が必要である。

これを、欧州の例で対比させると、
日本の習慣、美観に合わない部分はあるが、
単にあいまいな文化の違いでない、合理性が見えてくる。

1、二輪車レーンを自転車、バイクが同じレーンを同じスピードで走る。
山形市七日町交通実験の行方
          オランダ:アムステルダム  

二輪車は、広い歩道内の通行は禁止で、車道路肩を走る。
山形市七日町交通実験の行方
          フランス:パリ

2、右折レーンと直進レーンの間の、優先された二輪車レーン。
山形市七日町交通実験の行方
          オランダ:デルフト  
  
ボラードで区分、歩道は違法駐輪駐車帯?自動車は車道以外の
空きスペースを探し、悪者扱いになった歴史がある。
山形市七日町交通実験の行方
          オランダ:アムステルダム

3、交通機能が集中する都市内幹線道路で、路上施設のない歩道と二輪車レーン。
山形市七日町交通実験の行方
          オランダ:アムステルダム

 駐車帯、二輪車レーン、ボーンエルフ型歩道の標準的街路パターン。
山形市七日町交通実験の行方
          フランス:ルーアン

 駐車帯と、歩道内の往復二輪車レーン。
山形市七日町交通実験の行方
          ドイツ:ハイデルベルグ

4、中心市街地の地下駐車場入口、歩道、搬入路、トラムの競合。
山形市七日町交通実験の行方
          フランス:ストラスブール

5、トラム、バス専用レーンと二輪車レーンとの共用。
山形市七日町交通実験の行方
          フランス:ナンシー

6、二輪車レーンに駐停車した車は、交通犯罪ですぐ捕まる。
  自転車は追い抜く時に、手で合図する。
山形市七日町交通実験の行方
          オランダ:デルフト

 解決策は既に、10月の警察庁の通達が、おおよそ示している。
自転車は車両であり、車道通行が基本である。
自転車は左側通行。車同様の交通ルールを課し、
児童はヘルメット着用を検討など、自転車の解釈が変わりつつある。
冬になって、除雪や消雪は機能しているかも検証する必要がありそうだ。

山形市七日町交通実験の行方

 一方通行の道路の場合は、基本的に自転車も一方通行になる、
という感覚を常識と考えるか、が一つのカギである。
山形市七日町交通実験の行方
          フランス:ナンシー



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Posted by Katzu at 00:57│Comments(0)街の環境
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