2012年04月15日

液状化問題のその後

液状化問題のその後

 浦安市周辺の液状化について、その後の経過が気になったので、
その状況を知るために、街の周辺を1日中歩き回り、聞き込んだ。
新浦安駅の南側の駅前広場に立つと、地盤が歪んでいることに気づく。
路盤厚の薄い歩道は一様に歪み、宅地境界は段差となり破壊されている。
これは能登半島地震の時と同じで、新しいタイル舗装は同様に破壊されている。

液状化問題のその後

 70年代に我が国に初めて紹介された、タウンハウスとテラスハウスであるが、
特に、テラスハウスは、長屋スタイルという歴史的共通点はあるにしても、
ライフスタイルの多様化により、日本にはその後定着しなかった。
災害時の構造物の強固さや、コミュティの維持を考えると
有効な住居形態と思われたが、現実は少し違った。
比較的古いテラスハウスは、その被害こそ少ないが、
共同住宅という管理形態が、修復と責任の所在を複雑にしている。

液状化問題のその後

公団の共同住宅は、一部基礎が浮き上がり、アプローチの傾斜が
きつくなった個所があったが、躯体そのものの変化は確認できなかった。

液状化問題のその後

河川などの土木構造物に比べ、民間宅地の歪みが目立つ箇所が多い。
阪神淡路大震災で、神戸アイランドは液状化現象が起こり、都市機能が失われた。
日本では、もう埋め立てによるウォーターフロント開発はすべきでないと感じた。

液状化問題のその後

 今回の液状化被害個所は、新しい埋め立て地だけではない。
すでに圧密沈下の収まった、70年以前の開発地も含まれる。
盛土材の質にもよるが、N値2以下の土地にいくら盛土をしても、
スポンジの上に家を建てるのと同じである。
液状化の被害のある個所は、民間開発地が多い。

液状化問題のその後

 公団施行団地は高層住宅の独自基準もあり、独立住宅の地盤調査も義務化している。
民間開発では、平板載荷試験はおろか、スウェーデン式サウンディング試験さえ行わない。
その土地の判断は、建築業者に委ねられる。
建築業者は整地の知識が少なく、整地築造業者の責任にすり替える。
設計者は国の基準で行っているので、問題をすり抜ける知識を持っている。
地元では、あそこは○○不動産なのという声をよく聞いた。

液状化問題のその後

 液状化対策はサンドコンパクション、ウェルドレーン、土壌入れ替えなどが考えられる。
液状化の起きた個所は、砂地盤でN値が低く、地下水位の高い箇所である。
テレビの解説では、一度液状化が起きると地盤が固まり強固になり、
とりあえず安全だ、などと無責任な意見を述べる専門家がいた。
しかし、地盤を入れ替えても再び起きたニュージーランドの例もある。
水の道は止めることも、変えることも至難の業なのである。
自然の地形を変えることは、常にコントロールできないリスクを抱えている。


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Posted by Katzu at 17:05│Comments(0)大震災
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