2012年04月19日

除染とまちづくり

 東北地方の開花は福島市、相馬市から始まる。
1昨日、名取市役所の桜はつぼみで、南相馬市ではすでに開花していた。

除染とまちづくり

 岩手・宮城のまちづくりは、良くも悪しくも予想通り進んでいるが、
福島の被災地では進んでいない。
これはひとえに原発事故のためであるが、
居住地を決めるカギとなる空間線量はどう落ち着いたのだろうか。

 昨年末と同じ場所、同じ方法で比較してみた。
山形・宮城県では、雪が消え増えた個所もあるが、ほとんど変わらず少ない。
しかし、第一原発から20km地点の南相馬市の国道6号線の路側では70%、
飯館村の警察前の駐車場では60%に減っていた。
文科省で公開している空間線量調査でも同様の数値が出ており、
主要な市街地での除染の効果が表れたようにみえる。
(小数3桁の細かすぎるデータ開示は、数値に一喜一憂する
放射能アレルギー病を助長するので改めてもらいたいが。)

除染とまちづくり
                                   詳細
 放射能は水で流下し、下流のどこかで沈殿凝縮される。
当然ここまでモニタリングすべきである。であれば、
さらに安全側を想定し、山の上の雨雪で流されたはずの岩の上はどうであろうか。

 計画的避難区域の最北端で最も高い、標高705mの虎捕山に登り測定する。
頂上直下の岩の上では3.5μSV/hの値を示した。
この数値は居住制限区域のレベルに該当する。

除染とまちづくり

 これはいったい何を意味するのだろうか。

除染とまちづくり
                                        詳細                                   
 現在、『帰還困難区域』、『居住制限区域』、『避難指示解除準備区域』
の区分は、政府が進める楽観的な除染計画に基づく。
その目的は、住民の帰還運動対応と、不安を取り除くためばかりでなく、
町と人の将来計画を決める基礎となるものである。
しかし、この案は決定的な町の分断を招くばかりか、補償額を示したことにより、
地元市町村は区域の一元化を望み始めている。

除染とまちづくり
                                    経産省 詳細 

 ウクライナの例を見ると、このまま居住地の除染が進み帰還しても、
周囲の山河、耕地、公園の茂み一つにしても、空間線量を常時測定しながら、
子供にも理解を徹底させ、活動を制限する状況が生まれる。

 再度、専門の科学者や技術者は、勇気を持って
同じ状況になる可能性を伝えるべきではないだろうか。 
この課題をクリアしないと、まちづくりは進まない。

 阿武隈の山河は、日本昔話に出てくるような風景が連続する、
最も日本的な美しい地域である。
この環境が失われたことは残念で仕方がない。

除染とまちづくり

 自分は宗教もオカルトも信じないが、
雷鳴とどろく虎捕山に登り、集落を見降ろすと、
この山が放射能を防ぎ、北の霊山や陸奥の国府を守ったという事実と、
国土を守る山神と守護の白狼伝説を信じる集落の信仰心の方が、
基準を変えるその場しのぎの政府より信じたくなってくる。

除染とまちづくり

 被災者の生活をつなぐことは最優先であるが、
それでも、街づくりを急いではならない。
生活補償を先行させてはならない。
国の土地政策が無策だという状況は変わらない。



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Posted by Katzu at 20:04│Comments(0)原発
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