2012年04月22日
がれき処理問題 沖縄と東北から
大震災の推定がれき量は岩手4,700万t、宮城15,600万t、福島2,000万tで、
全体の70%が仮置き場に搬入されたが、
処理・処分された量はたった6%にすぎない。(平成24年3月:環境省資料)

がれき処理の受入れについて、沖縄県では早々に受入れを表明したが、
市民団体が反対活動を行い県民の関心を集めている。
4月7日、沖縄大学で行われた、がれき処理のセミナーには
190名ほどの多くの市民が集まり聴講した。

その内容と感想をまとめると、
1、放射能拡散と、がれき処理を同一視点で捉える人がいる。
2、廃棄物処理の課題そのものが原因となっている場合が多い。
3、産廃業者、建設関連産業の利権のためという単純な構図になりやすい。
これらは単純に語られ、解決する問題ではないが、
県外の騒動と現場での対応を見ながら、自分なりにまとめたい。
1 については、現在の広域処理対象がれきは
放射能汚染区域を除いた範囲で、原発事故の福島県は含まれていない。
放射性物質を除いた処理が基本である。
一方、セシウム以外の流出、沈殿、凝縮された危険物も含まれ、
分別・管理を徹底しなければならない。
政府の示す安全基準・公表値や東電の対応に、疑問を抱く専門家・学者が多い。
2 については、地方・島嶼地域の処理場の処理能力が低く、
ダイオキシン、PCB、アスベストなどの処理課題を十分クリアしていない。
バグフィルターの装着で放射能性物質の除去が可能と言われるが、
ある程度の量は飛灰する。
あらゆる生活物資を含むがれきは、リサイクル物の生成も可能であり、
分別することが第一に必要とされる。
派生する溶解スラグ、エコ製品の製品管理が必要である。
3 については、復興需要に群がる建設業界という単純な図式ではない。
廃棄物処理業務は廃棄物処理施設の単価比較と、輸送距離の比較により、
安いルートと事業者を選定することになっているが、
遠隔地の処理場に運んだ時は、会計検査院からの指摘を受ける。
通常の産廃処理費は1トンあたり2万円程度であるが、
今回の事業では6万円程度と単価が高く、
業者の利権争いになるという指摘があった。
土木工事の設計書を作る時、廃棄物処理工は雑工として
諸経費計上からはずすこともあるが、国交省の積算基準では
諸経費計上するため単純に2倍の発注費となる。
このからくりは、実際工事を発注した者でないとわからない。
放射能の見えない恐怖の議論は必要だが、
土木業務としてみた場合、緊急性のあるがれき処理以外は、
輸送コストの高い沖縄に搬入する理屈はない。
このような講習が、単なる放射能汚染のネガティブキャンペーンに偏ることなく、
新しい環境を作り守るための、未来の街づくりを創造する方向に進んでもらいたい。
南の島の廃棄物処理の現状を見るうちに、“投げるな、作るな”からは
何も環境を守る方向には向わないことがわかった。
廃棄物を利用し、自然エネルギーに変える技術とシステムを構築する方が
トータル的にグローバルな環境を守る方向に向かう。

このがれき問題、当の東北ではどうだろう。
仙台近郊ではがれき分別も進み、運搬だけが残る山も多くある。
南の福島県に向うに従い、がれきは分別されず、
積み上がった状態のものが多くなる。
最もがれき量の多い石巻市周辺も同様であろう。
がれき処理問題は、がれき分別問題である。

がれき受入れを早期に表明したのは青森県、山形県、東京都である。
山形では、宮城から災害廃棄物を受入れている。
搬入に際しては、放射線量検査を行い、その濃度は4000Bq/kg以下、
焼却する廃棄物は、200Bq/kg以下と環境省基準の1/2を採用している。
同時に空間放射線の測定を行い、0.19μSV/h以下での監視を行っている。
この基準は十分ではないにしても、多くの県民は、隣市の災害を目のあたりにし、
隣県からやってくる被災者に接しているうちに、受入れは仕方ないものと認識している。
環境都市(スマートコミュニティ)の事業がスタートする会津若松市の担当が、
沖縄のがれき問題についての感想を語ってくれた。
『遠い所に逃れた方は、放射能汚染に最も敏感になっている方かもしれません。
多くの県民はたぶん、他の県にがれき処理を任せるとか、
押しつけようとか思っていないと思います。
放射性廃棄物の中間貯蔵だって、県内で行う動きになりつつあります。』
この話の、がれき処理を米軍基地、放射性廃棄物の中間貯蔵を島の防衛という言葉で置き換えると、
福島と沖縄の立場が理解される。
周囲の騒音とは別に、次の世代にために、なにかが動き始めたと感じる。

全体の70%が仮置き場に搬入されたが、
処理・処分された量はたった6%にすぎない。(平成24年3月:環境省資料)

がれき処理の受入れについて、沖縄県では早々に受入れを表明したが、
市民団体が反対活動を行い県民の関心を集めている。
4月7日、沖縄大学で行われた、がれき処理のセミナーには
190名ほどの多くの市民が集まり聴講した。

その内容と感想をまとめると、
1、放射能拡散と、がれき処理を同一視点で捉える人がいる。
2、廃棄物処理の課題そのものが原因となっている場合が多い。
3、産廃業者、建設関連産業の利権のためという単純な構図になりやすい。
これらは単純に語られ、解決する問題ではないが、
県外の騒動と現場での対応を見ながら、自分なりにまとめたい。
1 については、現在の広域処理対象がれきは
放射能汚染区域を除いた範囲で、原発事故の福島県は含まれていない。
放射性物質を除いた処理が基本である。
一方、セシウム以外の流出、沈殿、凝縮された危険物も含まれ、
分別・管理を徹底しなければならない。
政府の示す安全基準・公表値や東電の対応に、疑問を抱く専門家・学者が多い。
2 については、地方・島嶼地域の処理場の処理能力が低く、
ダイオキシン、PCB、アスベストなどの処理課題を十分クリアしていない。
バグフィルターの装着で放射能性物質の除去が可能と言われるが、
ある程度の量は飛灰する。
あらゆる生活物資を含むがれきは、リサイクル物の生成も可能であり、
分別することが第一に必要とされる。
派生する溶解スラグ、エコ製品の製品管理が必要である。
3 については、復興需要に群がる建設業界という単純な図式ではない。
廃棄物処理業務は廃棄物処理施設の単価比較と、輸送距離の比較により、
安いルートと事業者を選定することになっているが、
遠隔地の処理場に運んだ時は、会計検査院からの指摘を受ける。
通常の産廃処理費は1トンあたり2万円程度であるが、
今回の事業では6万円程度と単価が高く、
業者の利権争いになるという指摘があった。
土木工事の設計書を作る時、廃棄物処理工は雑工として
諸経費計上からはずすこともあるが、国交省の積算基準では
諸経費計上するため単純に2倍の発注費となる。
このからくりは、実際工事を発注した者でないとわからない。
放射能の見えない恐怖の議論は必要だが、
土木業務としてみた場合、緊急性のあるがれき処理以外は、
輸送コストの高い沖縄に搬入する理屈はない。
このような講習が、単なる放射能汚染のネガティブキャンペーンに偏ることなく、
新しい環境を作り守るための、未来の街づくりを創造する方向に進んでもらいたい。
南の島の廃棄物処理の現状を見るうちに、“投げるな、作るな”からは
何も環境を守る方向には向わないことがわかった。
廃棄物を利用し、自然エネルギーに変える技術とシステムを構築する方が
トータル的にグローバルな環境を守る方向に向かう。

このがれき問題、当の東北ではどうだろう。
仙台近郊ではがれき分別も進み、運搬だけが残る山も多くある。
南の福島県に向うに従い、がれきは分別されず、
積み上がった状態のものが多くなる。
最もがれき量の多い石巻市周辺も同様であろう。
がれき処理問題は、がれき分別問題である。

がれき受入れを早期に表明したのは青森県、山形県、東京都である。
山形では、宮城から災害廃棄物を受入れている。
搬入に際しては、放射線量検査を行い、その濃度は4000Bq/kg以下、
焼却する廃棄物は、200Bq/kg以下と環境省基準の1/2を採用している。
同時に空間放射線の測定を行い、0.19μSV/h以下での監視を行っている。
この基準は十分ではないにしても、多くの県民は、隣市の災害を目のあたりにし、
隣県からやってくる被災者に接しているうちに、受入れは仕方ないものと認識している。
環境都市(スマートコミュニティ)の事業がスタートする会津若松市の担当が、
沖縄のがれき問題についての感想を語ってくれた。
『遠い所に逃れた方は、放射能汚染に最も敏感になっている方かもしれません。
多くの県民はたぶん、他の県にがれき処理を任せるとか、
押しつけようとか思っていないと思います。
放射性廃棄物の中間貯蔵だって、県内で行う動きになりつつあります。』
この話の、がれき処理を米軍基地、放射性廃棄物の中間貯蔵を島の防衛という言葉で置き換えると、
福島と沖縄の立場が理解される。
周囲の騒音とは別に、次の世代にために、なにかが動き始めたと感じる。

Posted by Katzu at 16:55│Comments(0)
│原発
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