2013年03月28日
中国の大気汚染

PM2.5の大気汚染による、グローバルな越境環境問題が深刻化している。
PM2,5は、0.0025mm以下の微粒子を意味するが、含まれる炭素、
NOx(窒素酸化物)SOx(硫黄酸化物)、金属類の成分を含み、
その多くはディーゼル車や工場排煙によりもたらされる。
日本では、都市部に留まらない広域の汚染被害が確認されるようになった。
現在でマスクをつけるという活動制約も起き、生活への影響が出始めている。
市民にとって、環境庁や官庁の提供する現況データではわかりづらいので、
先に予想した通り、研究機関や民間の気象予報サイトでも、PM2.5予想が公開され始めた。
九州大のSUPRINTARSと、日本気象協会のサイトがわかり易い。
中国本土での現状はどうであろうか。
上海は計画的に開発された都市で、広域的に住商工の用途規制が図られ、
高速道路網も整備されている。そのためか、この日の市中心部では、
多くの人がマスクを常用するという、極端な光景は眼にしなかった。
しかし、ニュースでは北京、上海をはじめ、広州、南京などの大気汚染について、
朝晩かなりの頻度で放送されていた。

在中国米大使館は、PM2.5の現況値をウェブ上で公開している。
日本を含めた東アジアの大気汚染状況が、地図で即時に把握できる優れ物である。
日本語にも対応しており、在中国日本人は最も参考にできる情報であろう。

Aqicn.infoアジアの大気汚染
無秩序な都市開発が行われた大都市での被害は顕著で、計画的な用途規制と、
自動車の排ガス規制を促進すれば、一部の都市の極端な例は解消されるであろう。
ポイントは、国全体として増大する経済を後押しする、工場の廃棄物、排ガス規制を
国策として早期に行えるかであろう。
大気汚染が深刻化している中国では、決して手をこまねいているわけではない。
テレビの話題は、党内部の話題以外では、環境汚染問題が一番多かった。
特集番組では、日本や諸外国の都市の環境対策が紹介されていた。
中国政府や一般人は日本の環境技術支援に難色を示しながら、学者・知識人たちは
海外の例を参考にしながら、研究開発を急いでいる様子がうかがえた。
他国への影響を懸念する以前のレベルではあるが、自国民の健康を守ることに
政府が最重要課題として取り組んでいることが、ニュースからヒシヒシと伝わってくる。

街を歩いて気付くのは、欧州並みに自転車とバイクが同じレーンを走る
交通区分がされていることである。
かつては、大量の自転車交通が街の渋滞を引き起こす原因となっていたために、
二輪車レーンを設置した歴史経緯がある。

一方、電動バイクの普及率は高い。
現在、年間2,000万台が販売されているという。
日本との違いは、電動アシスト自転車がスクーターサイズになり、
登録なしで手軽に利用している感がある。
しかし、音なしで歩道をすり抜けるスクーターには危険を感じる。
一方で、この普及が、日本の中古車があふれる他の開発途上国に比べ、
CO2削減へ寄与してきたとも言える。
中国政府は2015年までに、電気自動車とハイブリッドカーの普及台数
50万台を目指すことを表明している。

この軽量バッテリーの開発技術が、日本の電気自動車販売に対する脅威となる
かもしれないが、日本にとっても参考になることがある。
これからのエコカーの開発志向は、
新しい交通機関としての個人ビークルの小型・低燃費化であろう。
個人志向、ファミリー志向、商用の目的別交通再編があれば、
この状況を変える糸口がみつかると、上海の街を見ながら思った。
Posted by Katzu at 18:17│Comments(0)
│街の環境
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