2013年06月25日

沖縄のビーチクリーニング

沖縄のビーチクリーニング

 沖縄本島の海岸は、離島に比べ比較的清掃が行き届いている。
その理由は、沖縄が観光地であり、私有ビーチが多いことにも起因しているが、
ビーチクリーン活動に関するシステム条件が整っていることが第一にあげられる。

沖縄のビーチクリーニング


1.学校の環境教育の一環で行われる活動、大学の環境サークルの活動など若い世代の活動がある。

2.市民団体や各環境NPOによる活動も盛んで、本土や海外との団体のつながりで実現することもある。
  この中には在沖米軍のビーチクリーン活動も含まれるが、知る人は少ない。

3.企業単位の活動も多く、企業内の親睦、環境に対する意識向上だけでなく、地元密着型企業としての
  企業イメージの向上にも一役買っている。環境ISO14001の活動目標に掲げる企業もある。

4.沖縄の海岸は、公共整備された海浜公園も多く、各自治体の環境衛生業務として清掃が行われる。

沖縄本島では大きくこの4つのカテゴリーに分かれて活動し、産学官あげての取り組みもあるため、
全体的にビーチクリーニングを行う環境が整っていると言える。
そしてすべての活動は、身の回りの環境を理解し、環境教育の大切さを知るという同じ視点と結論に至る。

沖縄のビーチクリーニング
       
 一方、各ビーチクリーン活動が、相互に機能して初めてきれいな浜の環境が生まれるわけだが、
効果的でない課題も見えてくる。イベントの形骸化による参加人数の確保、本末転倒の活動後の
ビーチパーティ、意外に漂着ゴミが少なかったという声も聞く。
活動日時が制約されることが大きな原因でもあるが、イベント前に地元の有志が危険物を取り除き、
当日はきれいになっていた、という笑えない話もある。 

 これらの活動のコアに当たるのは、集落の慣習と個人の習慣である。
活動団体のない離島のビーチクリーニングは、集落単位に住民が招集され、住民総出で行われる。
離島は大陸の漂着ゴミも多く、その労苦は本島の比ではない。

沖縄のビーチクリーニング

 海浜の漂着ゴミは干満の高さに合わせ1~2本のラインに集約される。
公園内では機械清掃により集中的に行われるが、問題はゴミの分別である。
朝、砂浜を散歩する人の中にペットボトルを1か所に拾い集める人がいる。
自転車で個人的に廃棄物を集める人もいる。
犬と散歩しながらプラスチック類だけを集める人がいる。
話を聞くと、『心臓病を患い、動けるうちは少しでも何か手伝いたくて』という奇特な方であった。

沖縄のビーチクリーニング

 台風4号が過ぎ去った翌朝、海岸に行くと、大型漂着物はなく砂浜は昨日よりきれいになっていた。
西南から巻き込んだ強風がゴミをすべて吹き飛ばしたようであった。
消波堤の胸壁の背後は、くぼみになってゴミがここにたまる。
このくぼみのゴミを毎朝片づける御婦人がいて、いつもこの緑地帯はきれいに保たれている。

沖縄のビーチクリーニング

 沖縄本島では、大陸系やミクロネシア方面からのゴミは意外に少なく、沿岸の生活ゴミが主体である。
ゴミを見れば、その人の生活のすべてがわかる。
夜遅く、大きな花火の音が聞こえた翌朝は、間違いなくロケット花火の残骸がある。地元若者の仕業で
あるが、娯楽施設のない名護だから、暴走族と花火と成人式くらい大目に見ようという気持ちにもなる。
家族連れの線香花火ならはまだしも、最もひどい集団は、観光客の集まる海沿いの飲食店の酔客で、
深夜に奇声をあげ、明け方には犯罪証拠品の打ち上げ花火を残していく。

 沖縄のビーチクリーニングに関する人の行動を見ると、その根底にあるのは、自然が自浄効果のあった
時代からの集落の慣習があり、住民の習慣というものが現代では変わりつつある一方で、
その活動を影で支えている人達がいることも忘れてはならない。




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