震災復興計画その10
まちづくりは人づくりから
最近、まちづくりに関する明るい話題が聞こえてきた。
1.まちづくりの提案は地元から
気仙沼市唐桑では、集落を失った町民達は町の将来計画を皆で話し合い、
移転を決意し、自分たちで裏山に開発適地を探しに行くニュースが流れた。
町の再生には、集落のコミュニティを維持することが欠かせない。
国の姿勢と住民のやる気さえあれば、復興は早い。
その為には住民が自分たちの案を示すことが一番の近道である。
そして、
まちづくりのリーダーと、行政との間に立つ
専門家の協力が必要である。
例えば、唐桑の人達が悩んでいた
高台と海岸との移動などの課題は、
我々専門家が沢山の経験とノウハウを持っている。
地域の人口、財政規模、地域の特徴を生かした案を
行政に提案し、支援してもらえば実現可能なのだ。
2.事業再建は、街全体で
宮古の漁協は漁船を
漁協名義で購入し、持ち合いで操業し、
利益は組合員に均等に配分するという方針を全員一致で決めた。
昔から東北地方の共同体は、同じように災害や飢餓を乗り越えてきたのだろう。
これは三陸の漁業だけではなく、
農業の販売システムづくりや、
商店街の再生にも欠かせない要素である。
最近は、
住民参加型のまちづくりに係ってきたが、
行政主導型では実を結ばなった例が多かった。
しかし、今回の状況では、地域の環境と歴史を生かし、
就労と生活と教育が結びついた、コミュニティが生まれる希望が見える。
3.新しい交流がまちを活性化させる
多くのボランティアが被災地に入っているが、まちの伝統や
新たな魅力を引き出すのは、意外に
外の人間であったりする。
災害地で活躍するのは若い人が多い。
青春時代にデモに明け暮れた団塊の世代では、まねのできないことである。
彼らが明るいまちをもり立ててくれるだろう。
ここまで来ると、まちづくりのスピードは速い。
国が全体のビジョンを示し、新しい施策、法規を整え、
東北復興の出先事務所が機能し始めることが前提である。
一方で、建築、土木の
専門家のネットワークを造るとともに、
各市町村ごとにまちづくりの専門家を派遣し、オリジナルの地元案を
まとめた方が早く、まちを再興できると思う。
阪神淡路大震災の時は、
1年後に震災復興の事業計画をまとめ、
公共施設を先に都市計画決定し、事業を急速に進めた。
この混迷した状況では、地元有志の開発計画の方が先行するかもしれない。
その時、行政側は、
既成の規制で個人の事業復興を抑える状況は避けたい。
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