空間土地区画整理事業の創設
政府の紛争審議会は、年間50ミリシーベルトを超える帰還困難区域の人には、
一カ月10万円の5年分、一人当たり600万円を一括賠償金として支払うことを表明した。
Twitterの書き込みを見ると、賛否両論の意見のなかで、
今までにない若者の心ない書き込みが増えていた。
国が東電にかわり原発事故の補償をするという点と、各個人で不公平があること、
区域の設定により街が分断される点では反対である。
津波の被災区域や放射能汚染区域を国が買い上げるのは、
その面積規模からすると、不可能なことは当初からわかっていたが、
理路整然とした国の姿勢と、平等な補助をすることを公に示すべきではないだろうか。
福島県内で移転を決めた集落も事業化が進まない。
その理由は
1、県内でも汚染地域が広範囲にあるため、望ましい開発適地が近隣に見つからない。
2、既に被災者が離散しており、生活再建が先行し、将来の方針が定まらない。
3、除染以外に元の土地を修復し、再利用する方法がない。
放射能汚染区域に関する、避難住民の居住環境を整備するためのポイントは、
A、国は国土の維持を保障する。
B、まちのコミュニティを維持したまま、まとまった宅地を供給する。
C、平等な基準で適用する。
この3点が基本であると考えられる。
現行法での施行は困難であるが、理論と理念により事業化は可能である。
1年前に示した空間区画整理事業について説明したい。
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その実施方法は
1、個人の資産(従前宅地)を土地評価する。
2、30年間の定期借地権と対価とし、新たな宅地をまとめて供給する。
3、30年の除染後返却する。
つまり、土地の適正な土地評価のち、除染期間の定期借地を設定する。
区画整理は区域の設定を行い、宅地の価値が上がった分を公共用地、
保留地で補う事業制度である。
空間土地区画整理事業の運用方法は、2つ想定される。
1、区域を除染区域と新たな住宅地との離れた区域を一つにし、
全体の事業計画を策定し土地を造成、処分する。
2、従前の土地を債権化することにより、新しい区域に建設される
区画整理事業の事業計画とリンクし、補助事業として組み入れる。
現行区画整理制度ではできないので、新たな法制化が必要であるが、
理論的には区画整理事業の宅地評価理論でできる。
ここでは、国内で放射能汚染の心配がなく、まとまった500hの宅地が
供給されつつある沖縄を例にしたが、福島県の民間開発地でも対応可能で、
ある程度の集落のまとまりがあれば、個人で場所の選択ができる。
現在の汚染された土地を持つ人々には、補償金でなく、不安を除き、
新たな夢を持つことも必要であると思う。
その実現には国交省が先導して、法制化の作業にかからなければならない。
1年遅れてしまったが、新市街地整備には最低5年かかるのでまだ間に合う。
ただし、これらの土地政策と、東電が負うべき被災者の補償は別物である。