震災復興計画その13

Katzu

2011年05月09日 00:39

タイプ別事業案(Ⅱ.機能集約型)

 都市の郊外部は、農地と集落が入り混じり、自然環境とバランスした
住みよい環境を育んできた。一方で埋立市街地である災害のもろさも露呈した。
平野部の特徴であるランドマークとなるべき、避難場所がないために
多くの犠牲者を生んだ。仙台周辺は三陸地方に比べ最近の被災履歴も少く、
避難計画が徹底しなかったことも原因の一つである。
Ⅱ型はオープンスペースを生かしつつ、安全な生活拠点を集約するものである。



1.条件


 
 広い海浜で津波を減衰する施設がなく、遅く鋭利な津波が襲い、
背後に避難場所がないために、広範な被害を受けた都市部郊外地域である。
歴史的に津波を避け、開発されなかったとも考えられ、他地区に比べ
現在の漁業依存度、高齢者率は低い。

2.目標
 生活の再建を基本に、コミュニティと周辺環境を維持しながら、
安全でコンパクトなまちを創造する。

3.方針
 人口300人程度の集落コミュニティを計画する。
この集落を盛土の幹線道路により結ぶ。
周辺土地利用は農地、商工業施設とする。
海岸線は防波堤と防潮林を設ける。

4.計画

 丘陵状の小集落(ケズ)をクラスター状に配置する。
ケズは階段構造で上段は、防災センター、学校、公園、
病院などの土地利用で、下段は住宅用地である。
周辺地域の住宅施設は4階以上の中層建築物とする。
港湾周辺は防潮堤を整備し、港湾機能を再整備する。
幹線道路の高盛土化とともに、既存道路の耐津波構造化を図る。

5.事業方策

 既存の権利変換方式の事業では時間と手続きがかかるため、
土地の交換分合の法令化が必要である。
用買方式の事業として国の先買いを進めることが望まれる。
土地の課題が解決されれば、ケズタウンごとに民間開発とすれば、
復興はさらに早い。

6.課題

 既存の土地の沈下と液状化の影響が、どの程度であるか、
調査が必要である。土地そのものが移動しているので、
現況宅地の確認ができない上、宅地評価、区画整理調査をするのが困難である。
1個のケズは独立住宅で100戸、公共施設を含めると盛土約40万m3が必要である。
土砂搬入計画、流出による環境悪化に対処する必要がある。


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