紫に染まる山
秋の飯豊山は紫色の花で染まっていた。
みちのくの高山は9月の上旬とは言え、既に秋の気配がする。
ナナカマドなどは色づき始めている。
白黄赤色の夏の花の季節が終わると、青や紫の個性的な花が咲き始める。
光合成の関係か、虫との関係か、温度の関係か、
色彩学で証明できるのかはわからない。
ミヤママツムシソウ
ハクサンチドリ
ハクサンフウロ
ハクサントリカブト
集まる蝶や花アブを見ると、冬の死の世界を
粛々と迎えようとしているようでもある。
次の朝、気温は8℃に下がり、朝焼けも不気味な赤紫に染まり、
天候も下って行った。
飯豊のリンドウというと、固有種のイイデリンドウが有名だが、
個人の百名山ブログなどを見る限り、勘違いも多い。
東北全体に咲くオヤマリンドウは、不思議な花である。
紫のつぼみを見せながら、その花が咲くのを見たことがない。
咲く前に雪が覆ってしまうからだ。
桜のような浪花節的な派手さはないが、
100%満たされることのない美学を感じてしまう。
ハクサンイチゲとミヤマリンドウ
オヤマリンドウ
原発事故後、この山の南側、福島県側の放射線飛散量は、
近隣の平地よりも高い値であった。
水溶性のセシウム137が集まる湖沼は、
これからも継続的なモニタリングが必要であろう。
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