山形の春山に登り感じたのは、今年の降雪量の多さである。
写真は蔵王山頂駅の連休前の写真で、上が昨年、下が今年である。
今年は倒木も多く、枝ぶりも小さく感じる。
樹氷はすでに消えたが、4月下旬でも気温はマイナスになり、
霧氷がトドマツを覆っていた。
月山の姥沢では、未だに積雪6m以上の雪の壁が連なる。
山形気象台の記録によると、降雪量は1981年以来の414cm、
最深積雪97cmと30年振りの大雪だった。
1,2月の平均気温もマイナスで25年振りの寒波だった。
この原因はシベリアからの大寒気団のためである。
その来襲は、地球規模の気候変動の一つである、偏西風の蛇行による。
地球は既に氷河期に入り寒冷化に向かうという説、地球温暖化が進めば
氷河期に向かう説、その他もろもろの陰謀説まである。
それぞれの説は正しそうでも、地域的に、時系列的に、
相対的に解明できる学説はない。
この現象は短絡的な従来の方法で気象予想をすることは可能だが、
実際のデータは嘘をつかない。
20世紀に入り人間が多くのエネルギーを排出し始めてから、
地球の平均気温は上昇した。
局部的に寒波でも、長期的には温度は平均的に上がっている。
山形の平均気温の変化詳細
雪山に登り特に感じるのは、雪質の変化である。
学生時代は夏の雪渓でかき氷にして食べたものだが、
現在の雪の多い春山でさえ汚れて口にする気がしない。
人の入らない標高1200mの北蔵王の尾根付近で、
敷いた手ぬぐいが黒く汚れるほど、雪の汚染度は激しい。
温暖化と大雪で樹木が枯れ、土砂が流出したこと、
中国からの黄砂、大気汚染のためである。
恐らく酸性化も進んでいるのだろう。
上越地方は、湿度の高い雪質のボタ雪で、積雪量は東北より多かった。
最近は東北の雪も湿度が高くなり、積雪量も上越地方以上になり、
サラサラの粉雪は珍しくなった。
地球環境の変化が雪の質を変えた。
福島第一原発から100km離れたこの山域の空間放射線量は、
0.1μSV/h程度で、沖縄と変わらない。
むしろ、地球温暖化という言葉に集約されない、トータル的な
環境の変化が、山を覆う物質を変えていることに危機感を感じる。
雑木林を切り開き、整然と植林された杉林を見ると、
花粉症や無機的な生態系のこともあり、人工林の美しささえあまり感じない。
CO2削減という切り札的理屈も通用しない段階なのだろうか。