連休の遭難と竜巻の関係

Katzu

2012年05月08日 22:31

 連休後半の5月7日、春の嵐の状況に驚きつつ、
今年もまた連休遭難が起きたと思った。
5月連休の山は大荒れになることが多い。
TVでは、春山が冬山に変貌したためと解説していたが、
過去にも、風雪で大量遭難に陥った事例がたくさんある。
遭難者は夏山のような装備と報道されたが、
登山は、経験とリーダーの判断が生死を分ける。
最近は高齢者登山ブームであるが、
装備、力量、を見ると眼を疑いたくなる人も多い。
これを登山家はお遍路登山と呼んでいる。

 遭難したグループは冬山の装備ではないが、経験者も含まれていた。
経験以上の天候の変化と、慢心があったのだろう。



 この日の天気図を見ると、低気圧も台風並みではない。
シベリア低気圧が伸びてきて、雲は厚くないが、
動きは早く帯状につながっている。
この変化の速い雲の動きが、遭難を引き起こした。



その後低気圧の動きとともに、同じ雲の動きが、北関東平野に移動し、
ヒョウ、雷、竜巻の被害を引き起こした。



 竜巻後の家の被災状況は、津波を思い出してしまう。
大木をへし折り、家の土台をひっくり返す想定外の力である。
藤田スケールF2とされたが、アメリカ大陸ではF5の竜巻も確認されている。



 日本での竜巻の研究は進んでおらず、研究者によると、
過去にも何度も起きており、突然増えたわけではないが、
限定的なものか、データが少なく判断できないと語っていた。
局地的な原因は、南の海上からの湿った空気と、上空の
北の低気圧がぶつかり、温度差と気圧差が生じたためと言われる。

 この現象は地球規模の海面上昇のシステムに似ている。
NASAの海面上昇図によると、海面上昇は北極海の氷解というよりも、
むしろ低気圧と海面の高温・湿度の差の大きい地域で
海面が膨らむ現象が起きていることを示している。
これはラニーニョ現象、偏西風の蛇行により起きている。
 この春山の吹雪と北関東の竜巻は、
地球規模の環境の変化によりもたらされた。
北国に記録的な大雪を降らせたシベリア寒気団と同じく、
今回の低気圧も偏西風の蛇行が影響している。

 今回の竜巻のメカニズムは解明されるだろうが、
現在の地球シミュレータで判断できないほど、リアルタイムに、
空間的に、限定的に解析されないと予測することはできない。

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