2011年06月05日

ユッカヌヒ―の海

 沖縄は(旧暦5月4日)、ユッカヌヒ―である。
子供の成長を願い、豊漁を祈願して各地でハーリー大会が行われる。
海の環境が変わろうとも、祭りや文化芸能は引き継がれる。

昨日は大潮で、たぶんサンゴの産卵が行なわれただろう。
日中の干潮時に潮干狩りをする人も良く見かけた。

 車で15分の伊計島の海岸に行く。
この辺は潮流もあり、本島では海のきれいな地域に入る。

ユッカヌヒ―の海

本島の海に入るのは何年振りだろう。
毎年、海を覗くごとに、水も濁り、サンゴがいなくなる現実を見てきた。
最後は覗く事すらしたくない状況で、
いつしか八重山や海外に足が向くようになった。

70年代の開発、オイルボール、オニヒトデ被害が、
次々にサンゴの環境を奪っていった。

海の中は台風2号が去った後なので、水中の浮遊物もある。
礁湖内のサンゴの数は少ないが、藻が多く、
魚も思ったより多い。
海水のCOD値が高まっている上、水温も上昇しているのだろう。

沖縄近海は100年間で約1.1℃上昇している。
世界中のサンゴの80%が死滅したという1998年は、
前年比で0.3℃上昇した。(気象庁データ)

ユッカヌヒ―の海

さらに、国立環境研究所によると、サンゴ分布は年に
14kmのスピードで北に移動しているという。

このリーフ内には、元気なサンゴはいない。
ハマサンゴがある程度である。

ユッカヌヒ―の海

魚類は、ベラ、ヒメジ、スズメダイ、ギンポ類のほかは、
どうしても危険生物に目が行く。

ユッカヌヒ―の海

ガンガゼ、ゴンズイ、ミノカサゴのほかに、
クロガシラウミヘビが、穴に逃げ込んで行った。

ユッカヌヒ―の海

沖縄近海のシマウミヘビ類は、何度も泳いでいく横を
すり抜けて行ったが、人を襲わない。

リーフエッジ付近で、カリ、カリと言う音が聞こえる。
ブダイがサンゴをかじっている音である。

その先まで行かないと、ここの海の良さはわからないだろう。
タイドテーブルが干潮を切ったので急いで岸に引き返す。

日本の広さを実感する。
凍土が溶けて、コマクサの芽が出たばかりの北国の山から、
サンゴが生まれる南の海まで、
同時進行形で自然が営まれている。

温帯域と冷帯域のぶつかる2000kmの間に
多種多様な生物が集約されている。

自然災害の国に生きる日本人はもっと、
この世界的に貴重な環境を、理解し享受すべきだと思う。



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Posted by Katzu at 05:20│Comments(0)海の環境
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