2011年10月13日
パラオ焼の新展開

台北の故宮博物院を駆け足で廻った。
1階を1時間かけ、3階を3時間で見た。
全部見るには8年間かかると言われているので、駆け足である。
ここの展示品は、蒋介石が中国から持ち帰った、
本場北京よりも貴重なものばかりである。
特に、中国の陶磁器の歴史には深く感銘してしまった。
唐代の陶器の、緻密で繊細なデザイン、そして行きつくのは、
宋代の青磁、白磁のシンプルな美学である。
現代の中国人にはない、感性と技術である。
彼らは、いつからこの繊細さを失ったのだろう。
今年中国は、辛亥革命100周年、台湾は建国100周年を祝う。

パラオ国立博物館の展示は大きく変わった。
入場料をしっかり取り、撮影禁止になっていた。
2階部分のテーマは「パラオとドイツ」のディスプレイになっていた。
前日は行けなかったが、バイロイト大学のヘルマン教授が
「ドイツとパラオの協働の時代」と題した講演を行っていた。

1階部分はパラオ焼のワークショップの経過と成果が展示してあった。
焼物は80年代にパラオハイスクールで教えられた時代があったが、
30年近くワークショップすら開かれていなかった。

それが何かのきっかけで、博物館を中心に今年、盛り上がったようだ。
私が帰った半年後、粘土探しを行い13のサンプルを試したようだ。
そして、本格的に陶器を作ることを目的に、台湾の陶芸家を招き、
現代の技術で、古いパラオ焼に似せた土のランプなどを作ったようだ。
出来具合は古いパラオ焼より、繊細できれいだが、
土の感じは似た風合いに仕上がった。
我々の行為が無になることなく、興味を持ったパラオ人が現れた
ことで、救われた思いがする。
これらの作品は数多く展示してあるので、
一度パラオ焼に挑戦したメンバーは、覗いて欲しい。
歴史的な背景、繋がり、素材、野焼きの仕方などは、
まだ未知で、これから深く掘り下げた研究がされていくだろう。
Posted by Katzu at 22:55│Comments(0)
│歴史遺産環境
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