2011年11月01日

自転車通行規制の変更

自転車通行規制の変更

自転車は、幅員3m以上の歩道を除き、車道通行とする
25日の警察庁の通達を受け、全国の県警も歩道の通行規制を見直すであろう。
都心部の歩行者と自転車の事故が、多発していることを受け、
警視庁が、都内の自転車の歩道通行を原則禁止したことが発端である。
 これは、遅ればせながら、自転車と歩行者とを区別し、
バイクと同じ位置付けにした画期的な判断である。
そもそも日本の道は、自転車・歩行者・自動車が一緒に利用する
歩車共存の生活道路であった。
ある意味で理想に近い道路形態であった。
ただし、モータリゼーションが進んだ60年代に、
自転車と歩行者を完全に分けるべきだったのだ。

自転車通行規制の変更

 自転車は時速40km以上のスピードが出る、危険な乗り物である。
欧米同様、構造的に歩行者と二輪車とは区別すべきである。
ロードを趣味とするサイクリストにとっては,嬉しい解釈であるが、
車道内を走るのは危険で、白線内を走ることを心懸けている。
競輪用のピスト車は論外である。
これは安全性よりスピード、瞬発性を重視して、停止性に重きを置かないためだ。

 しかし、車道に追いやられる、買物・通勤自転車にとっては大変なことである。
街中で、歩車道を行き帰する危ない自転車を良く見かける。
これは歩車分離の思想を曖昧にした、国の行政指導も悪い。

自転車通行規制の変更

狭い箇所は歩車道すべてが狭く走りづらく、通行可能な幅員3m以上の
広い歩道の車道路肩は、広く走り易い。
少なくても昭和60年以降に造られた都計道路は、基本的に同じ設計基準である。

 今回の通達は一方的すぎる感が否めない。
なぜなら、それを運用するには道路構造を変えなければいけないからである。
これは日本の縦割り行政の欠点である。
道路交通法は警察庁、道路法は国交省と所轄が違う。
道路を取り締まる側が、交通規制を変えると言っても、その準備と方針が整っていない。
交通行政とは規制でなく、計画と実施の段取りが先行すべきである。

その計画実施プロセスとは

① 自転車の歩道通行可能個所と、車道通行個所を解り易く交通マップを示す。
② 通行不可能箇所は、優先事業として自転車専用レーン(道路)の計画を立てる。
③ 交差点内の車道路肩の不足(50cm以上)を解消し、交差点改良する。
④ 自転車通行をすべて左側通行とする。
⑤ 欧州で最も厳しい、路肩内(自転車通行帯)の停車車両の罰則を強化する。
⑥ 交通安全教室などで、自転車の乗り方を事前に教育、指導していく。

自転車通行規制の変更

 このプロセスを得て、初めて交通ルール変更の意義が生れるはずである。
日本の交通行政は事故が起きてから、経験的に変更してきた。

そして、方針が曖昧なまま、自転車の曖昧な存在を作って今日に至っている。
買物自転車の事故が増え、ようやく腰を上げる警察庁と国交省、
という記事は見たくない。



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