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Posted by TI-DA at

2016年09月09日

進むサンゴの白化と気候変動


     6/7/2016

沖縄に来て6年目、身近で海の変化を見続けてきた。
今年の変化は、春の赤潮とオニヒトデが発生した頃から既にあった。
6月上旬、既に浅瀬のサンゴは1割ほど白化が始まっていた。




夏に入り八重山の石西リーフで9割のサンゴの白化が報じられた。
先週、本島周辺のリーフ内で最もサンゴの発達する瀬底島に行った。



予想した通り、水深3mほどのサンゴは9割近く白化が進んでいた。
いつもと違う海の中の様子は、魚の動きでわかった。
稚魚は群れず、成魚はバラバラに通り過ぎて行った。
まるで、隠れ寝て食する家を失い、あわて戸惑うかのようであった。


     8/24/2016

ここは、本島の浅いリーフ内でテーブルサンゴの群落が見られる数少ないエリアだった。無念と言うより、起こるべき時が来たかという感想に近い。現在もリーフ内の海水温度が30℃近く、このままでは、全世界のサンゴが危機に瀕した1998年、2007年に続き、9年のサイクルでサンゴ礁が壊滅状態となる。


本土では3つの台風が北海道に上陸、東北上陸も観測史上初めてで、沖縄近海でも逆走台風10号、東シナ海の高緯度(北緯25度)での台風13号発生と、まれに見る台風の不可解な動きと豪雨の脅威が現在も続いている。沖縄では例年に比べ接近は少なく、発生数は8月までの平均13.7個とほぼ同数である。



     IRI:ENSO Forecast

この台風の発生も、沖縄近海の海水温の上昇が一因とされる。今年の長期台風予想では、エルニーニョ現象が終息にむかい平常化するため、例年通りの発生と判断された。今年の3月のペルー沖の赤道付近の海水温は高く、日本近海は低くエルニーニョ現象の配置になっていた。


       NOAA:3/3/2016


しかし、7月の海水温は逆にペルー沖の海水温は低く、沖縄近海を含む西太平洋の海水温が上昇した。


NOAA:7/4/2016


今年前半にエルニーニョ現象が終息し、ラニーニョ現象に変わったことが日本近海の台風の発生を助長させたことになる。
同じくエルニーニョがラニーニョに変わったのは、世界的にサンゴの死滅が進んだ1998年だった。





7月上旬、南大西洋では海水温が例年より低く、リオデジャネイロではオリンピック前に50年に一度の寒波が襲った。




アマゾン川流域は近年洪水を繰り返し、最大10m水位が上がり、木々には喫水線の跡が残っていた。




今年は雨量が少なく、例年の5倍の面積の森林火災が発生している。




赤道付近の大西洋からカリブ海にかけては、海水域が高温となりアメリカ東部をハリケーンが襲っている。アジアにおける台風の発生の構図と同じである。



       NOAA:7/4/2016


見かけ上の気候変動のメカニズムは、一地域の海水温が変化することに連動して、空気の流動がコントロールされているような印象さえ受けるが、陸地側の熱帯雨林の減少が影響していることは疑う余地がない。

この5年間は何だったのだろうと振り返る。
9年周期説に立てば、5年後にサンゴ礁が再生し育ち、9年後にまた死滅することになるが、今の状況が続き気候変動が進めば、その頃にはすでに失われている可能性の方が高い。

最近は雨後の海の汚れが気になる。
公共事業が盛んで工事現場からの排水が河川に流れ込むことと、辺野古の埋め立て土のストックとして業者が残土量を増やしているためである。少なくとも、海の生態系を変える人間の行為を進める限りは、気候変動の加速を抑えることはできないだろう。


     台風一過の名護湾
  


Posted by Katzu at 18:47Comments(0)地球環境