2013年11月01日

不確実性気候の時代

不確実性気候の時代

 夏の異常気象を振り返ると、山陰から東北の日本海沿岸では、集中豪雨が相次いだ。
山陰本線は国土の2軸を構成する幹線鉄道であるが、3か月たった現在も
山口県益田~奈古間が未復旧の状態で、代行バスが運行している。
この地域は、カルスト地形の秋吉台からつながる、中生代の火山岩の上に
滞留した表土で地質構成され、集中豪雨は至る沢で土砂災害を引き起こした。

不確実性気候の時代

京都では、保津峡狭さく部上流の亀岡駅前付近が浸水し、下流の桂川が氾濫し、
都市災害の様を呈しつつあったが、渡月橋は流木停めのために流出を免れていた。

 一方、関東から西日本、沖縄に至る太平洋岸では、少雨、猛夏となった。
台風の接近は煩雑で、台風26号が伊豆大島を直撃した1週間後、
台風27号、28号のダブル台風は、強まったチベット高気圧沿いに
前線を押し上げ、急速にスピードを上げ、北東に移動していった。
この時すでに、ミクロネシア南方に台風29号になる熱帯低気圧が発生していた。
沖縄近海では、穏やかな天候と予報されたが、その影響で現在も天気は安定しない。

不確実性気候の時代
                                     (クイック拡大)

台風の発生は、従来、パラオとグアムの太平洋上とされ、
パラオ滞在の2008年~2010年の2年間は台風がなかった。
しかし、一昨年、パラオにも数10年に一度の台風が襲い、
ペリリュー島では旧日本軍の防空壕での避難生活が続いた。

不確実性気候の時代

最近の台風の特徴は、台風になる前の熱帯低気圧の動きが赤道北部で活発になり、
台風発生地点がミクロネシア南方に寄る傾向がある。

一方、南シナ海の海水温の上昇は、アジアモンスーンを活発化させ、
インドシナ半島は大雨、洪水の被害が出ている。
相次ぐ国内の大雨洪水のため、そのニュースは少ないが、タイでは先月60万人の
洪水避難民が出ており、事態は収拾に向かってはいるものの、ダムの貯水率も依然高い。
現在、発生した台風29号は規模は小さいものの、そのインドシナ半島に向かっている。

不確実性気候の時代
                               JTWC (アメリカ海軍台風警報センター)

 沖縄に居て不憫に感じたのは、台風のニュースが上陸3日前に伝わるために、
それ以前に多くの人が、アメリカ海軍の台風情報(JTWC)を見ていることだった。
台風が近づくと、今でもこのサイトにアクセスしづらくなる。
テレビの気象情報なども、もっと南の広い範囲を表現してもらいたいと思っていたが、
最近ようやく、衛星画像の範囲が南方にも広がっている。

気象庁の予報も早く正確になったが、進路の範囲が広すぎ、予報を活用できない場合がある。
その理由は、危険回避リスクを考慮する意味もあるが、
既存のデータが十分生かせない不確実性気候のためでもある。

不確実性気候の時代
         NOAA (アメリカ海洋大気庁)


不確実性気候の気象予報に求められるものは、
グローバルな予報と局地の予報、
早期の観測体制強化と迅速的な判断が必要であろう。



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Posted by Katzu at 18:14│Comments(0)海の環境
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