2014年04月02日

環境税・炭素税・エネルギー税

 8%の消費税とともに、ガソリン価格に負荷された環境税について振り返ってみた。

環境税というと、狭義では環境負荷を低減し環境を保全するための税金ということになるが、
広義では化石燃料に対する税や、廃棄物の徴収税、環境保護のための入域税なども
こう呼ばれることもある。

 炭素税とは、地球温暖化の主因とされる化石燃料の価格に税金を上乗せすることにより、
CO2の排出量を抑えるとともに、税収を環境対策に利用することである。
日本では地球温暖化対策税(環境税)として、化石燃料費に上乗せされている。

環境税・炭素税・エネルギー税

環境税の導入は2004年に環境省から提案され、2012年10月から段階導入された。
その趣旨は『喫緊の課題であるエネルギー・地球温暖化問題の解決にむけてCO2を
できるだけ抑制されるよう、国民の皆様のご理解を…....』とある。
この趣旨からすると炭素税そのものなのである。
環境省―地球温暖化対策のための税の導入

経団連は、既に企業自ら省エネ努力を行っており、価格の上乗せだけでは家庭と
企業にダメージが残り、効果が薄いとして反対の立場をとってきたが、昨年ようやく
地球温暖化を国際社会との共有の課題と認め、低炭素社会の実行計画を打ち出した。
経団連低酸素社会実行計画

国民の理解も十分でないままに、なんとなく導入された環境税と言う言葉は、
日本的なあいまいな表現で、地方自治体の森林環境税や産廃税にも使われる。

環境税・炭素税・エネルギー税

 一方、欧州で既に環境ビジネス化しているCO2排出取引制度は、
日本では自主参加型の国内排出量取引制度の試行に留まっている。
先日開催されたIPCC(気候変動に係わる政府間パネル)での欧米の足並みに対し、
2012年11月の衆院解散に伴い行われた地球温暖化対策基本法案の廃案が、
日本の環境政策の遅延状態を際立たせている。

国交省の地球温暖化対策の趣旨は、

1、低炭素まちづくりの実現

2、再生可能、省エネ、環境産業システムの構築

3、生活様式の見直しと資源節約型社会への転換

的を得た優等生的目標で、かつ野心的かつ理想的でもあるが
個人でこれを実行することがいかに大変であることか、
一度経験しながら浸透させることが肝要なのである。
この目標が美辞麗句で終わらないためには、
気候変動が経済に対する影響についての説明を
各国が苦慮している現実に立ち向かわなければならない。

環境税・炭素税・エネルギー税
これまでの地球温暖化対策をめぐる経緯

 EUは2030年までに温暖化ガスの排出量を1990年に比べ40%削減すると発表した。
炭素税は、すでに主要8カ国で導入され、CO2排出取引制度は30か国が加盟実施している。
炭素税はCO2の排出量に対して行われるが、CO2単位で計算している国はまだ少ない。

 豪州では既に排出企業に対する炭素税を導入していたが、
2014年に徴収制度を廃止し、排出量取引制度に切り替えるとしている。

 60年代、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』で環境問題の先鞭をつけ、
その後も地球温暖化問題のロジックをリードしてきたアメリカはどうであろう。

環境税・炭素税・エネルギー税

アメリカ文化の象徴は、プレスリーとハンバーガーとコーラと言われてきた。
黒人音楽を取り込みながら巨大化化していったロックビジネス、
健康意識の変化からセブンイレブンに世界一の店舗数を抜かれたマクドナルド。
IT革命後、ビジネス環境も大きく変わったアメリカであるが、
低炭素社会への道筋は石炭産業を中心とした反駁もあり遅れている。

コカコーラは、アメリカの大量消費社会を象徴する大企業であった。
国内の健康ブームで海外に販路を見出したが、近年インドでの干ばつ被害により
ライセンスを失い、洪水によるさとうきびの生産中止に追い込まれ財務リスクを背負い、
企業トップは気候変動の脅威に目覚めた。CEOはIPCCの部会に対し、
政府と産業界が共に地球環境問題に取り組むべきだという立場を表明した。
                                             NewYorkTimes
環境税・炭素税・エネルギー税

竜巻、ハリケーン、水害が煩雑に襲来するようになったアメリカでは、
炭素を過剰排出する大企業は反アメリカ的で、
炭素税導入は免れないとの意見がようやく出始めている。

 炭素税は、CO2削減のみが地球温暖化のターゲットとなることで、
十分解明されていないロジックの説明を必要とすることに難点があり、
化石燃料に依存して生活する人からは当然異論があがる。

私見としては、原子力、再生可能エネルギーを含めたあらゆるエネルギーに課税し、
都市全体のエネルギー量を抑えつつ、世界と対等するCO2の排出量取引と、
用途種別に応じ課税するエネルギー税に向かうべきだと考えている。



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